日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

銀行

20230418 イタリア銀行セクターについてのドイツメディアの報道ぶり

次に欧州債務危機が発生する場合には、イタリアのソブリンか銀行セクターが震源地になる可能性が高いのですが、先月大騒ぎになった米欧銀行不安でイタリア銀行セクターが危うくなっているということはなさそうです。 ドイツの各種メディアのイタリア銀行セク…

20230415 ドイツ取引所新聞社説「古いバンカーに別れを告げる」

ドイツ取引所新聞が「古いバンカーに別れを告げる」という(元銀行員の私としてはこの上なく興味をそそられる)社説を書いていましたので、そのメッセージをかいつまんでご報告します。 「老兵は去る/若者に託すべし」的な論調でちょっと耳が痛いですが、ト…

20230412 IMF世界経済見通しドイツ関連部分

上の表は、内外主要機関のドイツGDP/インフレ予測一覧表です。今回のIMFは今年▲0.1%のマイナス成長を予想している点が特徴的です。他にマイナスを予想しているのはハンデルスブラット研(HRI)のみで、他の機関は概ね+0.2~+0.3%の予想となっています。 以…

20230404 ドイツのエコノミストたちは金融危機を心配せず

https://www.ifo.de/fakten/2023-04-04/bankenkrise-oekonomen-erwarten-keine-schwere-finanzkrise 本日ifo研がドイツの経済学者132人に最近(3/23~30)実施したアンケート結果が興味深いので以下ご紹介します。 欧米で銀行不安が台頭しているものの、多く…

20230320 UBSによるクレディスイス買収についてのドイツメディアの報道ぶり

UBSによるクレディスイス(CS)買収についてのドイツ主要メディアの報道ぶりは以下の通りです。 大手行が行き詰まった場合、他の大手行との合併、国による不良資産の買い取り、国有化などの選択肢があるが、今回のケースでは国有化の方が安全だったのではな…

20230318 危機感をバネに前進することの大切さ

★スライドを加えて動画にもしています。よろしければ併せてご覧ください。 www.youtube.com youtu.be <Japanese> 先週来、リーマンショック再来を想起させるような展開が続いています。大きな銀行がいくつも突然破綻する/しそうになるなどということは、普通はまず起</japanese>…

20230317 ECB利上げに対するドイツメディアの報道ぶり

昨日ECBは前回予告通りの50bp利上げを断行しましたが、それに対するドイツ主要メディアの報道ぶりをご紹介します。 利上げ決定直前まで、CSがガダガタしていたのでどうするかが注目されていたが、ECBは以下の二つのメッセージを明確に示した。①予告通り、ま…

20230314 SVBドイツ支店に関するドイツでの報道ぶり

フランクフルトにSVBのドイツ支店があるものの、ドイツに預金取引はなく「ドイツに影響なし」とされていますが、念のため、当地で報道されている内容等について記録しておきます。 ●連邦金融監督庁 (BaFin)プレスリリース https://www.bafin.de/SharedDocs/V…

20230225 ドイツで多発するATM爆破強盗に関する続報

ドイツではATMを爆破して現金を奪うという大胆な組織犯罪が後を絶たない、ということについては当ブログで何度もご紹介してきましたが。。。。 20221228 ドイツでなかなかなくならない「爆破ATM荒らし」 - 日独経済日記 20211226 ドイツではATM爆破による現…

20230217 本日コメルツ銀行のDAX40への復帰が決まる見込み

【追記】その後コメルツ銀のDAX復帰(2/27から)が確定しました。 https://deutsche-boerse.com/dbg-de/media/pressemitteilungen/Nachr-cker-f-r-Linde-in-DAX-und-STOXX-Indizes-3422600 掲題関連情報のドイツでの各種報道のまとめです。 ドイツ証券取引所…

20230214 フランクフルトのバンカー不足

フランクフルトでのバンカー不足問題について、今朝のフランクフルターアルゲマイネ紙に興味深い解説記事(下添リンク)があったのでそのエッセンスをご紹介します。 www.faz.net ●BREXIT後、フランクフルトはますます金融センターとして重要になっている(E…

20230204 日本とドイツの銀行が今後目指すべき方向性について

<Japanese> ドイツのトップバンクであるドイツ銀行が先週決算を発表し、昨年通期の株主純利益が50億ユーロ(7,100億円相当)と2007年以来の高水準を記録しました。うち14億ユーロが税効果によるものだったとはいえ、長年のリストラが奏効し、ようやくしっかりとした黒</japanese>…

20230112 ドイツの銀行の融資スタンスがやや厳しくなってきました

今朝ドイツifo研から以下のような興味深いデータが発表されましたので、すかさずご紹介します。 Banken zurückhaltender bei Kreditvergabe an Unternehmen | Pressemitteilung | ifo Institut ●「取引銀行の融資スタンスが厳しくなってきた」と感じる企業の…

20221125 ドイツ連銀月報いいとこどり③(金融市場編)

引き続きドイツ連銀11月月報から金融市場関連のポイントをピックアップしていきます。 ●為替 一番下のユーロ名目実効レート(黒)で読み取れる通り、ユーロは一時弱かったもののその後戻して昨年末来おおむね横ばい。対ドル(1番目)での安値からは切り返し…

20221124 ドイツ連銀金融安定報告のポイント

https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-900432 (W杯観戦で忙しいので??)以下、単刀直入にポイントを列挙します。 ちょっと前までは低インフレ・高成長(+金融資産の含み益)といういい環境だったが、今は高インフレ・…

20221106 ドイツの当座貸越金利、6.99〜15.95%とかなり上がってきました

日本ではあまり馴染みがありませんが、ドイツでメインとなる銀行口座は当座預金(決済用、付利なし)で、残高以上の引き出しに対しては、結構高い金利の当座貸越(普通預金に直結しているカードローンのようなもの)となります。 多くの銀行では、貸越金額の…

20221022 半年毎に必読の日銀金融システムレポート

<Japanese> 日銀が半年毎(4月、10月)に出している金融システムレポート(和・英)は、金融業界関係者にとって必読の書であり、私も毎回欠かさずチェックしています。海外では、金利急騰に加えてリセッション懸念が高まっていますので、有価証券投資の含み損拡大や海</japanese>…

20220923 ドイツ住宅価格上昇鈍化

先ほどのドイツ連邦統計局発表によると、今年第2第四半期(4〜6月)の住宅価格指数は、前期比+2.5%と絶対水準の上昇は続いているものの、前年同期比での伸び率は、+10.2%と前期の+11.6%から大きく減速していました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pres…

20220922 ドイツ銀行セクターの2021年収益動向

ドイツでは日本と違ってほとんどの銀行が上場していないので(例えば3本柱の二つである貯蓄銀行や信用組合が非公開)、日本のように気の利いた財務ランキングの類はまず手に入りません。 ドイツの銀行業界全体の財務状況を調べたければ、ドイツ連銀の(銀行…

20220831 家賃のウェートが高いおかげで、インフレのダメージが緩和されてました

ドイツ連邦統計局のWEBサイトの中に「あなたの家計の実際のインフレ率を計算してみよう」というコーナー(下添リンク)があるので、使ってみたところ、下図の赤線のような推移がはじき出されました(青線が統計/標準世帯のウェートベース)。 今年7月の断面…

20220806 サステナブルファイナンス考

持続可能な新しい社会を実現するために必要な活動を支える金融のことを、「サステナブルファイナンス」と呼びます。経済活動の裏側にはそれを支える金融が常に(黒子のように)存在し、その活動が大きなものになるほど、大規模で難度の高い金融が必要になり…

20220804 ECB経済月報クイックチェック

ほぼ毎月出ているECB経済月報(Economic Bulletin)は、グラフをナナメ読むだけでも、ECBがどんなデータをどのような形で見ているか/見せようとしているかが分かって有益です。 https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/ecbu/eb202205.en.pdf サンプルとしていく…

20220718 企業の資金調達、家計の金融資産(2022年3月)

ドイツ連銀から掲題について(ドイツ語だけでなく)英語でも速報が出ました。 Acquisition of financial assets and external financing in Germany in the first quarter of 2022 | Deutsche Bundesbank 同時期(2022年第1四半期)に対する日銀資金循環統計…

20220628 ドイツ金融安定化委員会報告のエッセンス

ドイツ金融安定化委員会(財務省、ドイツ連銀(中銀)、ドイツ連邦金融監督庁(BaFinから構成)が昨日(6/27)提出した国会宛報告書のポイントを抽出しておきます。 ①ロシア/ウクライナ危機 全体としてドイツの金融システム全体が受ける影響はマネージ可能 …

20220619 急騰するドイツ住宅ローン金利

スクープで有名なドイツの有力週刊誌シュピーゲルの直近号の表紙が、「住宅金利ショック(金利が1⇒3%と3倍になっている!)」というセンセーショナルなものだったので、本当にそうかなのか住宅ローン金利比較サイトで確認してみました。 デア・シュピーゲル…

20220422 ウクライナ危機で対露全面禁輸とした場合のドイツ経済への影響

掲題について、ドイツ連銀が今月の月報の中で分析結果(ベースライン比でのGDP押し下げ、インフレ押し上げ幅)を発表してくれていますので、その結果を簡単にご紹介します。 Krieg gegen die Ukraine: Energieembargo könnte deutsche Wirtschaft deutlic…

20220408 ユーロ圏は着実に金利正常化に向かっています

足元は米国の積極利上げが市場のメインテーマになっていますが、ユーロ圏もその影響を逃れることはできません。 ウクライナ危機の長期化を背景に、グローバルなインフレ予想がどんどん切り上がっているだけでなく。。。 ECBが重視するユーロ圏のインフレ期待…

20220311 ECB理事会についてのドイツメディアの報道ぶり

昨年夏頃から、ドイツで加速するインフレに対して何も手を打とうとしないECBに対するドイツメディアの批判が高まり続けてきましたが、今回のECB理事会結果に対する報道ぶりは概ね以下のような(引き続き批判的な)感じとなっています: ECBは債権買取縮小(…

20220308 ECBに対する利上げ圧力高まる

本日、ifo研より(恐らく大半が在ドイツの)145人のエコノミストに対する興味深いアンケート調査結果が発表されています。 Längerfristig erhöhte Inflationsrate für Deutschland | Fakten | ifo Institut これによると、ドイツのインフレ率は、今年(2022…

20220305 ロシア中銀の外準狙い撃ち

中銀の外貨準備というのは、ある種の国家機密のようなものなので、詳細までは開示されていないことが多いのですが、ロシア中銀は驚くほど透明な情報開示をしています。「BANK OF RUSSIA FOREIGN EXCHANGE AND GOLD ASSET MANAGEMENT REPORT」を見ると、ロシ…