日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20210708 独日潜在成長率格差に想う

先日発表された内閣府の潜在成長率推計を見て、ちょっと悲しい気持ちになっています。 https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2112gap.xls

 

少子高齢化やモノづくり立国で日本と似ているはずのドイツと比べて、あまりにも低いからです。

 

足元の状況を比較すると、以下のようになっています。

         日本(日銀、内閣府)      ドイツ(5賢人会)

潜在成長率      0.1~0.5%           1.1~1.3%     

①生産性        0.4~0.5%           0.5~0.6% 

②資本投入       0.0~0.2%            0.5% 

③労働投入      ▲0.4~▲0.1%           0.1~0.3% 

 

まず②の資本投入でドイツに大きく差をつけられています。欧州巨大単一市場への輸出を含めて、収益機会が豊富なドイツは投資に積極的なのに対し、日本では長年のデフレで投資が委縮してしまっています。

 

①の生産性を比べると、現時点で大差はないのですが、日本の低調な投資が長く続けば、いずれは生産性の悪化につながると懸念されます。

 

日独間の何より決定的な違いは、③の労働投入です。ドイツが難民と移民を積極的に労働力として活用することにより、プラスを維持しているのに対して、日本は総人口/労働力人口の減少をそのまま反映したマイナスになっています。

 

その結果、日本とドイツの潜在成長率の格差は約1%にもなっています。

 

日本には、「長寿」「安全・安心」「おもてなし」など、カネに換算できない幸福構成要素がたくさんあり、カネで測った経済指標が全てだとは思いませんが、このような成長力格差が、最終的にはドイツの超健全財政と日本の超不健全財政という形で結実してしまっているような気がしています。