今回のECBの金融政策戦略見直しにおける最大のポイントは、インフレ目標が以下のように変更されたことです。
【従来】中長期的に2%よりちょっと下(実質的には1.8%程度、2%超は嫌う)
【今後】中長期的に2%を中心として、上下は完全に対称(世界標準)
本日のFTは、これを面白おかしく「ドイツ連銀の伝統に対する死亡宣告」と表現しています。
確かに今までのECBのインフレ目標は、ECB発足時にドイツ連銀のチーフエコノミストからECBのチーフエコノミストに転じたイッシング専務理事の強いイニシアチブで実現したもので、ドイツ連銀の伝統色の強い特殊なものでした(オランダ中銀出身でドイツ連銀と考え方が近いドイセンベルク初代ECB総裁にもサポートされていました)。
なお、念のためですが、インフレ目標が微妙に引き上げられているので、この変更自体は、ハト的(金融緩和的)と評価できます。