欧州議会が中国との投資協定批准を「凍結」しているだけでなく、今後米中対立が一層激化した場合には、対中デカップリングを米国から迫られる可能性の高いドイツではあるのですが。。。
EU・中国の投資協定、欧州議会が批准凍結 制裁解除を要求 | Reuters
こちらのレポートなどを見ている限り、ドイツ企業は中国依存を改めるどころか、対中投資にますます積極化しているように見えます。
Business Confidence Survey (ahk.de)
【ポイント】
- ドイツ経済は、輸出入に対する依存度がもともと非常に大きい(輸出入合計/GDP=88%、日本は30%程度)
- グローバル化進展の大きな流れの中で、ドイツ経済はその恩恵をフルに享受してきたが、近年は輸出入も直接投資も伸び悩んであおり、グローバル化反転の兆しがみられる
- ドイツ企業としては、輸出から現地生産への切り替えを進めておきたいところ
⇒成長市場である中国に対しては特にそのニーズが高い - EU中国投資協定(現在批准が止まっている)が施行されれば、輸出より直接投資が有利になる。生産/雇用や研究開発も現地においた方が有利
- 中国では輸入より自国内生産を有利にする規制が導入されがち
- 中国政府は、欧州企業を補助金や優遇措置で熱心に誘致しようとしている
- 中国に進出済のドイツ企業のうち、72%が対中投資増額を検討、43%が協定成立後に研究開発拠点の中国開設を検討
- こういった動きは、ドイツ国内の雇用にとって当然マイナスとなる
日本企業も人のことは言えませんが、こんなことで本当に大丈夫なのかと心配になります。
【ご参考①】主要輸出国別ドイツ財輸出の前年比増減推移
中国(上から3番目)向けは、コロナでもほぼ横ばいを維持⇒シェア上昇
(プラスはトルコ向けのみ)
イギリス(上から5番目)向けは、BREXITの影響で近年常に減少⇒シェア顕著に低下
【ご参考②】主なドイツ企業(機械、車/大半が合弁)のロケーション
~上海、江蘇州に偏っています