日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20210830 ドイツ首相候補TV討論会、明確な勝者なくもショルツに好印象

先ほど2時間に及ぶTV討論会が終了し、その直後に視聴者約2000人に対して実施されたアンケート結果によると、誰もがそう感じるような明確な勝者はなかったものの、ショルツ蔵相が全体的に好印象を残したと評価されている模様です。

         一番良かった     好感が持てた

①ショルツ      36%         38%

②ベアボック     30%         37%

③ラシェット     25%         22%

 

f:id:dateno:20210830061433p:plain

 

今回のTV討論では、アフガニスタン問題、コロナ対応、気候変動対策、治安、財政、男女差別、連立可能性など幅広いテーマがカバーされ、それぞれが計約30分ずつくらい、平等に発言機会を与えられていました。

Annalena Baerbock, Armin Laschet und Olaf Scholz: So lief das TV-Triell (msn.com)

 

私なりに印象に残った/重要だったと思われるのは以下の諸点です。

  • 司会者や討論相手からのどんな(意地悪な)問いかけに対しても、3者とも党の方針に沿った模範解答に徹し、大きな落ち度なく、概ね無難にしのぎ切った。
  • 劣勢にあるため、今攻めるしかないラシェットとベアボックは意識的にやや攻撃的なスタンスをとった(特にラシェット)。一方、ショルツは一切興奮することなく、終始冷静沈着な態度を貫いた。
  • ラシェットは、今回身振り手振りや表情豊かに、積極的に攻勢に出た。但し、多くの視聴者から「やりすぎ」「劣勢を挽回するために必死になっている」とややネガティブに受け止められてしまった模様。
  • ラシェットは、赤赤緑連立の可能性をショルツが明確に否定できないところを絶妙のタイミングで突き、左傾化を恐れる有権者に信頼と安定を訴えることには成功した。
  • ショルツは、持ち前の安定感をいかんなく発揮し、視聴者から最も高い好感度を獲得することに成功した。但し、赤赤緑を明確に否定できないことで、党内左派に配慮せざるを得ない弱い立場にあることが改めて浮き彫りになった。
  • ベアボックは、他の二人と違って現在政府の要職にないので、これまではTV露出で不利になりがちだったが、今回は気候変動(持ちネタ)とアフガニスタン(政府の落ち度)という絶好のテーマで存在感を示した。とにかく新風を期待する層や、若者からの支持強化にはつながりそう。
  • 現時点でも郵便投票が進んでいるので、今優勢にあるSPDにやや有利に働く可能性が高い。
  • 今回のTV討論では、有権者にとって最も関心の高いテーマがほぼ全てカバーされていた(残りは年金、教育、デジタル対応、外交くらい)。次回以降のTV討論では(9/12,9/19)、新味ある大きな見せ場(逆転の機会)はかなり作りづらいように思われる。
  • ラシェットとしては、Greenの政策の非現実性、SPDが赤赤緑に走りかねないリスク、を思い切って糾弾し、やれることを精いっぱいやったものの、現在の悪い流れを逆転させるような成果には直結しなかった。