日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211022 ドイツ政局アップデート 12月半ばの信号機連立政権wショルツ首相誕生を目指す

昨日SPD、Green、FDPの3党間での連立(本格)交渉(Koalitionsverhandlungen)が開始されました。

最初に以下のような大まかなスケジュール感(努力目標)が提示されましたが、このようにしなければ前回(2017年秋、ジャマイカ連立交渉)のようにズルズルと交渉が長引いて、ドイツの政治空白がいたずらに長期化しかねないためです。

  • 10/27 テーマ毎、計22の部会で交渉開始(基本的に夜間や週末は回避)
  • 11/10 22部会それぞれの中間総括発表
  • 11/30 連立契約起草(締結)
  • 12/ 6~ 国会でショルツ首相率いる信号機連立成立 

 

【22部会とそれぞれの各党メンバー一覧】

Koalitionsverhandlungen Ampel 2021 (businessinsider.de)

ここまでドイツ連立交渉は比較的順調かつハイピッチで進んできたと言えるかもしれませんが、本当に大変なのは実はこれからです。個別政策の具体的調整だけでなく、ポスト配分(気候変動省やデジタル省などの新設も検討中)、連立契約の書きぶり、各党内の承認手続きなど、いずれも今までとは違って格段に重い内容になります。

「連立交渉」の所要日数過去平均は46日ですので、上記のスケジュール感は確かにこの平均値通りの組み立てになっています。しかし、今回は従来のような2党間ではなく3党間での調整となるだけでなく、気候変動本格対応という新手の難題を抱えている上、微妙な妥結結果を各党が持ち帰って党内承認することの大変さなど考えると、新政権の早期樹立を過度に楽観視すべきではないと(個人的には)思います。

これまで私は年内成立五分五分程度とみていましたが、3党がスケジュール感を敢えて宣言し(自らを強く律し)たことに敬意を表して、①概ね上記スケジュール通り6割、②遅れ4割、と見ておきたいと思います。

 

なお、ネタ的お話で恐縮ですが、現在ヘルムート・コール首相が持つ首相在任最長記録5,870日(1982~1998年)を抜くためには、メルケル首相は12月19日(この日に5871日達成)まで首相であり続ける必要があります。

上記スケジュールが実現し、ショルツ首相がこの日の前に誕生してしまうと「メルケル首相記録更新に失敗」ということになります。まあ、メルケル首相はそんなことに微塵も拘っていないと思いますが。。。

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