ドイツ連邦議会選挙投票日が9月26日でしたので、明日10月26日(火)でちょうど一ケ月になります。明日から新連邦議会が発足しますので、メルケル政権は次の(ショルツ)政権が誕生するまでの暫定政権となります。
メルケル首相は今でも政治家人気ランキングトップを走っており、引退していなければ今回の選挙でも勝利していた可能性が高かったはずと思います。
現在ヘルムート・コール首相が持つ首相在任最長記録5,870日(1982~1998年)をメルケル首相が抜くためには、メルケル首相は12月19日(この日に5871日達成)まで首相であり続ける必要があります。
しかし、現在SPD、Green、FDPによる信号機連立交渉が精力的に進められており、12月半ば頃(12月16日の欧州理事会前)の新政権誕生を目指していますので、この記録更新達成は微妙な情勢です。
恐らく参加(107回目の出席)が最後となる先週の欧州理事会では、周囲の皆からねぎらいと感謝の言葉をかけられ、別れを惜しまれていました。
メルケル首相は、明確なビジョンを示してガンガン人を引っ張っていくマクロン仏大統領のような「わかりやすくカッコいいリーダー」ではありませんでした。しかし、どんな難しい問題にでも落としどころを見つけ、関係者を舞台裏で説得し、妥協を成立させてしまうところは天才的で「EUの妥協マシン」とも呼ばれていました。
気候変動対策/エネルギー政策、デジタル化推進、社会的公平性の実現、といった、誰がやっても妥協点を見出すのが難しい大きな課題を残したまま、メルケル氏は政界を去ることになりますが、これらは新政権に任せ、メルケルさんには大好きなサッカー(観戦)を存分に楽しんで頂きたいと思います。