今月のドイツ連銀月報の中に、中銀デジタルユーロに対するドイツ市民の見方をアンケートやインタビューで調査した興味深い特集記事がありましたので、その概要についてご紹介します。
私なりに総括すると以下の通りです:
- 少なくとも現時点では、中銀デジタルユーロに対するドイツ人のアクセプタンスはかなり低い。
- ドイツ人の現金好きと個人情報保護への拘りが障害になっている模様。
- 仮に導入しても現金をフルにリプレースするのはとても無理そう。したがって、現金取り扱い窓口やATMは当面なくせそうにない。
- 現在ECBが提案している1回3000ユーロの支払い上限金額では、少なすぎて不便との声が多い。
- デジタル人民元の国際的普及急拡大など、目に見える脅威を肌で感じるようになって初めてドイツ人の中銀デジタルユーロへのアクセプタンスが改善するのではないか、と推察される。
【中銀デジタルユーロに求める特性】
手数料などがかからない、プライバシー保護/データ保護、取り扱いが容易、幅広く利用可能 など
【期待されるメリット】
現金や既存電子マネー(PayPalなど)の良き代替になりうる、デジタル社会にフィット、仮想通貨より信頼できそう など
【懸念されるデメリット】
今までの支払い手段で十分満足、現金廃止の第一歩になりかねない、行動を監視されかねない など
【中銀デジタルユーロに対するスタンス】
今のところあまり積極的に使いたいと思っている人はかなり少ない。何のために使うのか想像もできない(60%)など、懐疑的、否定的見方が圧倒的に多い