日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211027 ドイツ政局アップデート 信号機連立の本格交渉開始

本日、ドイツ信号機連立を目指す3党が組成した22部会・総勢約300人による本格的連立交渉がスタ-トしました。11月10日の中間総括発表に向けて、この22部会がほぼ独立して担当分野毎の政策調整を進めることになります。

 

最大の難関と目されている財政/資金調達(第22部会)における課題解決の方向性について、ドイツの主要メディアで報じられているポイントを整理すると以下のようになります。

  • 未来への投資として、気候変動、デジタル、インフラ領域に巨額投資が必要
  • Greenは年500億ユーロの追加投資が10年間は必要と主張、この規模感自体には3党内に特段異論なし
  • 予備交渉では「債務ブレーキ尊重」「増税なし」で合意しており、通常の国債増発による財政出動は回避する方針
  • 但し「債務ブレーキ」に対しては、基本法改正が必要ない範囲の法整備(調整)でより大き目の柔軟性を確保する予定
  • 景気回復による税収増、難民基金などの剰余金活用、行政の無駄の廃止、大麻解禁などである程度の資金は確保可能(但し規模感は不明) 
  • FDPが主張する「スーパー償却」(実質的減税)でもある程度の民間資金動員は可能 
  • 幸いコロナの副産物として、民間銀行には十分な貸出原資が蓄積されている
  • KfWを大幅強化(増資/場合によっては組織改革)して、保証や損失補てんスキームで大きな民間資金を動員する
  • その他にも特別投資会社を設立し、住宅供給(家賃高騰鎮静化だけでなく、高い断熱性能+太陽光パネル設置で気候変動対策も兼ねる)などに活用する。国からの出資や貸出は資産として認識されるので、「債務ブレーキ」にヒットしない 
  • ドイツ鉄道は政府100%子会社なので、会社の独立性に慎重に配慮しつつも、政府が必要と考える投資を断行させる

今後も漏れ出てくる続報をフォローしておきます。