CDU党首選は以下3者の争いとなることが確定しました。
若手再有望株のシュパ-ン保健相は、最後までコロナ対策に注力したいということで、辞退しました。
①メルツ元院内総務(66):経済・財政専門家、党内右派
②レトゲン元環境相(56):外交専門家、党内中道派
③ブラウン官房長官(49):医療専門家、メルケルのブレーン(やや左寄り)
左から、②レトゲン、①メルツ、③ブラウン
いずれも党内エスタブリッシュメント(重鎮かつ高齢の男性)であり、1回目では誰も過半数を得られず、恐らくメルツとレトゲンの決選投票となり、6-4くらいでメルツが勝利する、という感じの展開になるのではないかと思われます。ただし、メルツとレトゲンの党員内支持率は足元ほぼ互角の模様です。
最有力候補(ただしこれまで2回連続で惜敗中)のメルツ氏は若手男女ペアを正副幹事長(副幹事長ポスト新設には党則改正が必要)に指名し、右傾化などしないと宣言して中道勢力の取り込みを図ろうとしていますが、党内左寄りの人たちはレトゲンかブラウンを選びそうです。
今後のスケジュ-ルは以下の通りです。
11/6-11/17 立候補者募集 <現時点でここまで完了>
11/18-12/2 選挙戦
12/4-12/16 1回目投票(過半数確保者が出ればここで決まりだが可能性は低い)
12/28-1/13 2回目投票
1/14 結果発表 <実質的にはこのタイミングで決定>
1/21-1/22 党大会(ハノ-ファ-)で上記結果に基づく形式的党首選出手続
上記3人のうち誰が次期CDU党首になるにせよ、以下が中長期的懸念事項となります。
- 40万人の党員投票でのガチンコ勝負で党首を選ぶため、党内の融和はさらに難しくなる可能性が高い
- 誰もメルケル後の新たな魅力的なCDUのビジョンを提示できておらず、4年後の政権奪回への道筋が全く見えてこない
- 他党比女性活躍で見劣りする状態がなかなか解消しない
- CDUがメルツ氏の下で右傾化した場合、党外からの支持を増やすのは難しそう
(極右AfDは10%程度のコア支持者を固めており、切り崩しが難しい)
また、信号機連立政権との建設的協力がより困難になる可能性がある
舞台裏での必死の調整を経た結果、新味のある男女混成若手チ-ムがひと組だけ出てきて、党員信任投票で高率の支持を得る、というのがラシェット現党首の思い描いた理想系だったのですが、全く違った展開となっています。
マスコミからは「CDUは自分探しで苦戦中」、「党再生の道筋はいつまでたっても全く見えてこない」と揶揄されています。
実際に世論調査の政党別支持率でも改善/巻き返しの兆しがあまり見られません。
Wahlumfragen zur Bundestagswahl – Sonntagsfrage (Wahlumfrage, Umfragen) (wahlrecht.de)