本日ドイツ連邦統計局から発表された11月のドイツCPIは前年同月比+5.2%、ECBが重視するユーロ圏調和ベース(HICP)では+6.0%にも達していました。最近は市場予想を軽く上回る展開がずっと続いています。昨年後半のVAT一時的引き下げのベーシス効果(1.25%)を差し引いても、とんでもなく高いインフレ率が放置されていることになります。
+5.2%というのは29年ぶりの高水準で、経済に特に強い関心のない普通のドイツ人は記憶にない(未体験ゾーン)と思います。5%台というのはちょうど私がドイツケルン大学に通っていた頃に最後に見た水準で、当時はMMFの利回りが7%以上あったと記憶しています(本日のドイツ10年国債りは▲0.31%!!!です)。
通貨の番人ドイツ連銀(Bundesbank)の目には、HICP(黒)、PPI(橙)、輸入物価(緑)が下図のように映っており、「こんなの一時的だから心配無用」という説明には相当な無理があります。
- 電気代など来年以降に消費者への転嫁が本格化するエネルギー価格
- 各種サーベイに顕著に表れている企業の強い値上げ意向
- 最近のユーロ安
- 高めの賃上げ妥結
などを考えると、少なくともドイツ人の目から見ると、ECBは恥ずかしいくらいビハインドザカーブに陥っています。
ヴァイトマン・ドイツ連銀総裁がこのような状況の共同責任を負わされる前に、事実上の抗議辞任に踏み切ったのはまあ当然のことかと思います。