日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211213 ベアボック外相の外交デビューの印象

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ベアボック新外相は、就任後早速、パリ(フランス)、ブラッセル(EU)、ワルシャワポーランド)、リバプール(G7)を歴訪し、国際外交舞台へのデビューを果たしました。

最初は相手にも「お手並み拝見」的な部分があり、いきなりガチンコでぶつかり合ったわけではないということもあるのかも知れませんが、今のところ(特段問題視される発現もなく)無難に政務をこなしている印象です。

Greenの共同党首でもあるベアボック氏は、EUやG7が前面に掲げる基本的価値観(民主主義、基本的人権、法の支配)を非常に重視しており、経済的理由でこれらをないがしろにすべきでないというスタンスをとっています。但し、ショルツ首相(やドイツ経済界)の意に反してロシアや中国とやみくもに対立するわけにもいきません。

ショルツ新政権としては、上記価値観の尊重を従来以上に前面に押し出しつつも、実質的にはドイツの経済的利害を損なわないようメルケル時代同様の慎重な外交を続けるものと考えられています。これまでのベアボック外相の発言は、少なくともそういった予想に沿ったニュアンスのものとなっています。

なお、ベアボック外相は当面、ロシア(ウクライナ問題/ノルトストリーム2)、中国(人権問題/北京オリンピック)、イラン(核開発問題)への対応という誰がやっても難しい課題への対応で時間とエネルギーを取られることになりそうです。