日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211231 今後10年の我々の生活を変える10の重要トレンド

独ハンデルスブラット紙(12/23-26週末号)に、「今後10年の我々の生活を変える10の重要トレンド」という興味深い特集があったので、そのエッセンスを私なりの言葉でご紹介させて頂きます。

Zehn Trends aus den Bereichen Technologie, Karriere und Finanzen werden unser Leben grundlegend verändern. (Foto: Thomas Kuhlenbeck)

Disruption: Zukunft hängt von technologischen Durchbrüchen ab (handelsblatt.com)

 

  1. 気候変動対応
    年々異常気象/自然災害による被害が増えており、これらに対する危機感からハイテクによる気候変動対策が加速する。核を含む各種小規模発電や蓄電技術が進化し、電力や水素がグリーン化する。捕捉したCO2を有用なプラスチックに変える技術も実用化する。ドイツはバッテリ強国になれる。

  2. メタバース
    フェースブックやファッションショーでの活用といった、メタバースに対する一般的なイメージとはやや異なり、デジタルツインの形で設備、車両、医薬品の開発・管理における活用が進む。データや知財権の保護が課題。

  3. シンセティックバイオロジーによる医療革命
    AIによるタンパク質解析が劇的に進化し、タンパク質を思い通りに操作できるようになりつつある。今後最も重要な科学は生物学(医学)であり、AIは適用領域としてベストフィット。コロナ対策におけるmRNA活用はまさにその好事例。

  4. 学び直し+学び直しの方法自体を学ぶ
    ドイツでは2030年までに650万人が学び直し、400万人が職の種類自体を変えなければならなくなる。学び直しを支援するサービスが生まれ、学び直しの機会を積極的に提供する企業でないと人材が集められなくなる。

  5. 誰もがボス
    プロジェクトなどで、直属の上司でなくても人を動かせる人材(プロダクトオーナー、プロジェクトマネージャー等)の重要性が増す。そのような人材をどのように処遇/確保し、どうやって育てるかが課題。

  6. 賃金スパイラルは上下方向に二極化して加速
    これまでは転職を通じて給料を上げようとするのが普通だったが。今後職場での多様性がより広く受け入れられるようになるにつれて、やりがいや安定などと引き換えに給料は低くていいという人が増えてくる。学び直し後の転職が増えるのでこの二極化は加速する。

  7. バーチャル企業
    職場のミーティングが仮想空間内のアバターによるものになり、オフィスが完全にデジタル化する。 企業毎に最適な仕組みを提案することがビジネスチャンスになる。常時呼び出し可能な状態は働き過ぎ(バーンアウト)につながりやすいので、労務管理の仕組みづくりが課題。

  8. 年金の面倒は自分で
    少子高齢化と異常な超低金利のため、年金生活はもはや安泰でなくなっている。学び直しによる転職が増えれば企業年金も当てにならない。インデックス連動ETF積み立て投資などによる自助がますます重要になってくる。

  9. ムーンショット銘柄
    近年の米株上昇は、優れたイノベーションのビジネス化によって数年で何倍にもなった企業(ムーンショット銘柄)の株価によって支えられている。一部のファンド/投資家はこういった銘柄探しに躍起になっており、専用のETFも登場し始めている。

  10. 若者の投資
    スマホアプリで少額をポチっとゲーム感覚で株や投信に投資する若者がドイツでも急増。貯蓄から投資へやESG投資等といった文化として定着し、世の中に影響を与えるようにまでなるかどうかに注目。