先週の米FOMCをこなした後、米FEDによる年内利上げ織込みは計5回(25bp刻み)となっています。
CMEの FedWatch ツール: FOMCへカウントダウン (cmegroup.com)
昨年後半以降、米FEDによる利上げ地均し/市場織込みが急速に進んだ結果、米国債2年物利回りは下図のように1.2%近くまで急騰しています。
中央銀行がちょっと本気を出せば、(長期金利はともかく2年程度までの)手前の金利は短期間のうちにこんなにも大きく思い通りに動かすことができるということです。
まさに「中央銀行に逆らってはいけない」を肝に銘じて行動すべき局面です。
一方、ECBは引き続き利上げに非常に慎重な(年内利上げなしを公言している)ため、独国債2年物利回りは▲0.6%とマイナスレンジ圏内での推移を続けています。
米独金利差が急速に拡大したため(ロシアの影響もあるかも知れませんが)、EUR/USDは昨年以降下げ止まらなくなり、大幅なユーロ安が進行しています。
ECBの直近スタッフプロジェクション(昨年12月)における
インフレ予想は、2022年3.2%、2023年1.8%、2024年1.8%
その前提条件は、2022年のEUR/USD=1.13、ブレント77.5ドル
となっていますが、EUR/USDは足元の1.11からさらに下振れ方向にあり。。。。
Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area, December 2021 (europa.eu)
ブレントは90.68と大きく上振れています。
先週IMFから発表された「世界経済見通しアップデート」の中に下図のような、市場ベースのインフレ期待(青:米国、赤:ユーロ圏それぞれのブレークイーブンイールド/実線:5年、点線:5年先5年)のチャートが掲載されていました(ブルンバーグ端末でも持っていない限り、WEBではこのデータが見られない/GETもできないので、この種のチャートはある意味貴重品です)。
これを見ると、米国5年(青実践)ほど高水準ではありませんが、ユーロ圏の赤線2本を見るとずっと2%近傍で高止まりしています。これらが2%を明確に上回って定着してくると、さすがECBも何もしないでいるわけにはいかなくなると思います。
FTのインフレモニター特設サイトの一番下に掲載されているインフレスワップ5年物金利を見ても、独仏伊でじり高傾向が見て取れます。
Inflation tracker: latest figures as countries grapple with rising prices | Financial Times (ft.com)
上述のユーロ安や原油高による追加的インフレ圧力を考えると、ECBが利上げ/金利正常化前倒しに追い込まれる可能性は高まっていると思います。
このような状況変化を市場は敏感に感じ取り、価格に織り込みに行っています。
EURIBOR3ヶ月物金利先物市場を見ると、2023年6月現が100(金利ゼロ%に相当)を割り込み、3ヶ月物金利のプラス転換が2023年4-5月頃まで前倒しされていることが判ります。このような前倒し(ECBへの催促)は今後もじりじり進んでいくと予想しています。
Three Month Euribor Futures | ICE (theice.com)