日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220203 ヴァイトマン前独連銀総裁の呪い

ラガルドECB総裁が「(市場になじみの薄い新種の)フクロウ」から突然「(全然普通の)タカ」に豹変して市場を大いに驚かせ、ユーロ金利の大幅上昇を引き起こしました。

これだけインフレの読み間違いが続いていれば、ECBもさすがに堪えきれなくなったというだけのことなのかもしれませんが、ラガルド総裁の記者会見が「インフレは予想以上かつリスクは上方向」、「年内利上げの可能性も否定せず」という予想以上にタカ的な展開となったのでイールドカーブ全体にセルオフされました。

ドイツ2年国債(通称シャッツ)の利回りは今日1日で約20bpも上昇しています。

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Germany 2-Year Bond Yield - Investing.com

 

当然ながらFX市場も完全に意表を突かれ、昨日まであれほど軟調だったEUR/USDが爆謄しています。

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EUR USD | Euro US Dollar - Investing.com

ユーロ金利のこれほどまでの上昇は、過去にもあまり例がありません。

EURIBOR3ヶ月物金利の金先も今日は当然こっぴどく売られているわけですが、その結果、3ヶ月物金利のプラス転換タイミングが、ついに年内(12月頃)まで前倒しされてきました。

Three Month Euribor Futures | ICE (theice.com)

年内に50bp程度の利上げが織り込まれたということです。

こういった市場の織込みは、世の中のどんな目利きのあるエコノミストの予想よりもはるかに正確である確率が高いので、明日以降、どんなコメントが出回るか判りませんが(こういう時は慣性の法則よろしく「市場は行き過ぎ」というコメントが出がちです)、こちらのプライシングを疑わずに素直に信じて、必要な行動を起こした方が賢明と思います。

 

ドイツ政財界が長く待ち望んだユーロ金利の正常化(誰の得にもならない有害なマイナス金利アンワインド)が今日から本格的に始まったということだと思います。

ヴァイトマン前独連銀総裁の事実上の抗議辞任が今になって結実したようにも見えるわけですが、個人的には、今日のこの歴史的ECB理事会を現役BUBA総裁として迎えた上でECBの中で正論を吐いていてくれたら/あんなに早く辞めなくてもよかったのに、とつくづく思う次第です。

 

BOEFED⇒ECBとくれば、いよいよ次はBOJか、と色めき立ちたい気持ちはあるのですが、いかんせんインフレターゲットに遠く及ばないBOJをそのお仲間に加えてしまうのはさすがにやりすぎではないかと思います。