日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220216 ドイツ実質賃金、2年連続の減少(異例)

今朝ドイツ連邦統計局から2021年の賃金統計(速報)の発表があり、

名目賃金は前年比3.1%上昇したものの、インフレがそれを0.1%上回ったため、

2021年の実質賃金は0.1%低下したという内容でした。

 

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Reallöhne im Jahr 2021 voraussichtlich um 0,1 % gegenüber 2020 gesunken - Statistisches Bundesamt (destatis.de)

 

上記グラフ(赤線:名目賃金、黒線:消費者物価、青線:実質賃金)に見て取れる通り、日本と違って、ドイツの名目賃金はインフレ率以上に上昇するのが当然と思われています(特に労組はプラスの実質賃金確保を非常に重視します)。

ところが、2020年のコロナ発生直後は、いわゆる操短(労働時間と賃金を分け合って雇用を維持、賃金には政府からの補助が出る)が急増したため、名目賃金、実質賃金とも例外的にマイナスとなりました。今年は操短も減って名目賃金が相応に盛り返したものの、インフレが予想以上に上昇してしまったため、実質賃金が2年連続でマイナスという珍しい事態に陥りました。

ドイツの労組は、この実質賃金の2年連続での目減りを非常に不愉快に思っており、少なくともコロナ禍を生き残り、十分な収益を上げている会社に対しては、今後非常に強気な賃上げ交渉に出てくるものと思われます。