侵略国ロシアで平然とビジネスを続けていると「なぜ早く撤退しないのか」と糾弾され、レピュテーションリスクが高まりやすい環境ではありますが、ロシアからきれいに撤退するのは簡単ではありません。平時でもロシア事業からの撤退には10~12か月を要すると言われています。ドイツで言われている撤退阻害要因4つを以下ご紹介しておきます。
- ロシア人幹部がロシア政府から将来何をされるかわからない
撤退する外国企業の幹部を厳罰に処する法制化が進められており、
懲役10年などがありうる - 経済制裁対象でない業務を契約に反して勝手に止めれば損害賠償リスクが大きい
ソフトウェアのメンテナンスなどは、長期契約となっており、制裁対象
でもないのに勝手に打ち切れば、巨額の損害賠償を請求される
また、他のEM独裁国家での今後の受注にも悪影響が出る可能性が高い - ロシア政府によって資産を接収されるかもしれない
現時点ではロシア政府による接収リスクはまだ高くはないものの、
ロシア人従業員を冷たく大量解雇したりすれば、接収断行に格好の口実を
与えることになりかねない - 現地での雇用をどうするかが大変悩ましい
ドイツ企業は現在ロシアで28万人もの雇用を創出している
撤退で解雇に踏み切ると、ロシア政府から接収などの懲罰を食らうリスク
が高まるので、事業を停止しても給料を払い続けた方が無難とされている
ちなみに食品メーカーであるこちらのドクタ-エッカ-は、上記の問題を現地ロシア人マネジメントによるMBOで凌いでおり(今のところ一応の)成功事例とされています。
【ご参考】ロシアでの売上げシェアが大きいドイツ企業例
【ご参考】米イェール大学集計によるロシア撤退企業
Over 750 Companies Have Curtailed Operations in Russia—But Some Remain | Yale School of Management