日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220606 各国のスタグフレーション度合い比較

インフレをグローバルベースでウォッチするにはこちらのFTサイト(節目節目で適宜更新されている)が大変便利です。

デジタル購読でも月39ユーロ(約5500円)するFTとしては珍しく無料で閲覧できる記事になっていますが、潜在的新規購読者を引き寄せるための涙ぐましい企業努力の一環です。

Global inflation tracker: see how your country compares on rising prices | Financial Times (ft.com)

 

下図は各国の2022年インフレ予測(コンセンサス)が過去1年どのように切り上がってきたかを示していますが、最近のドイツの大幅上方シフトと日本のターゲット未達が非常に対照的です。

 

2022年の実質GDP予測とインフレ予測の推移と重ねて表示したものをFTが国毎にアップデートしてくれていますので、チェックしておきましょう。

 

①米国

 ~昨年後半からインフレの予想値が大幅に切り上がっていますが、
  GDPの切り下がり度合いは比較的マイルドです(⇒名目成長率はかなり高い)

 

②ドイツ

 ~ウクライナ危機勃発を機にインフレ予測値が大きく切り上がり、
  GDP予測値がガクンと切り下がっています(それでも名目成長率は高い)

 

③日本

 ~インフレ予測値はターゲットの2%にまだ届いておらず
  GDP予測値の低下幅もマイルド(ちょうどインフレに食われている程度)です

 

④トルコ

 ~今やインフレと言えばこの国
  スタグフレーションというより通貨危機を先に心配する必要があります

 

⑤中国

 ~(統計の信ぴょう性の問題はあるものの)上述の諸国のような
   インフレ↑ 成長↓ という問題とは無縁に見えています

   但し、ゼロコロナ政策、不動産締め付けなど、
   インフレ以外の政治的要因による経済低迷リスクがかなり心配です