日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220607 ドイツ4月製造業受注はかなり弱目

今朝ドイツ連邦統計局から発表された4月製造業受注は、3月の前月比▲4.7%(本日▲4.2%に上方修正)という大幅低下の反動による若干の上昇(+0.3~1.5%)が予想されていたのですが、実際には前月比▲2.7%、前年同月比▲6.2%とかなり弱い結果に終わりました。

Germany Factory Orders - May 2022 Data - 1952-2021 Historical - June Forecast (tradingeconomics.com)

 

数量インデックス(2015年を100とする実質ベース)で見ると、前月比で海外(青)▲4.0%(ユーロ圏▲5.6%、ユーロ圏外▲3.0%)、国内(黒)▲0.9%と海外向け資本財中心の落ち込みとなっています。ウクライナ危機でユーロ圏の投資の手が止まったための弱さと解釈してよさそうです。

Auftragseingang im Verarbeitenden Gewerbe im April 2022: -2,7 % zum Vormonat - Statistisches Bundesamt (destatis.de)

 

ドイツ連銀には下図のように見えています(上の橙線、下は建設受注でまあまあしっかり)。コロナ後の強めの戻しとしての水準自体は維持していますが、この軟化が5月6月と続くようだとちょっと心配になってくるという感じでしょうか。

 

5月ifo景況感指数の製造業部分を見ますと、受注と相関が高そうな期待指数(青線)が4月の急低下から若干リバウンドしています。来月発表の5月製造業受注が続落する可能性は低いように思われます。

ifo Geschäftsklimaindex gestiegen (Mai 2022) | Fakten | ifo Institut

 

また、5/31にはドイツ製造業の大黒柱的存在であるジーメンスがエジプトから超大型受注(81億ユーロ、68都市を結ぶ全長2000kmの鉄道プロジェクト~81億ユーロはドイツ製造業の月商の4~5%の規模感)を獲得していますので、6月の受注もこれである程度は支えられるものと思われます。

 

但し、4月の製造業受注がウクライナ危機や中国ゼロコロナに強く押し下げられた弱い数字であることには間違いありません。今後も警戒しながら見張っておくつもりです。