経済制裁による設備修理遅延を口実に、ロシアがノルトシュトリーム1経由でのドイツ向け天然ガス供給を平時の4割程度に絞ってきていますが、これはショルツ首相の独仏伊共同電撃キエフ訪問(6/16)に対するけん制/報復と解釈されています。
ドイツ向け天然ガスが止まる可能性とそのリスクに対する関心がとみに高まっています。
このような状況を背景に、高級週刊新聞Zeit(ディー・ツァイト - Wikipedia)がドイツにおけるエネルギーの総合的状況をモニタリングするサイト「エネルギーモニター」を立ち上げてくれていますので上から順にチェックしておきます(6/16ドイツ時間16時半時点)。今後も時々チェックする価値があると思います。
Energie in Deutschland: Teuer, klimaschädlich und abhängig von Russland | ZEIT ONLINE
左)リッター当たりスーパーガソリン価格:1.99EUR(下の線は前年同時期の価格)
右)ロシアからのガス輸入量7日平均:0.93テラワット~足元さらに急減
左)再エネ発電比率30日平均:44%(薄い線は昨年同時期)~簡単に増えない
右)太陽光(黄)、風力(青)発電量目標比:各▲3.3%/▲22%
天然ガス(紫)、ディーゼル(橙)、スーパー(赤)、電力(ピンク)それぞれの価格
(ウクライナ危機勃発時点を100としたインデックス)
~開戦後の急騰は一服し、夏場(低需要期)ということもありある程度落ち着き
発電量、上から順に、太陽光、風力、その他、天然ガス(圧縮中)、石炭、褐炭、原子力、バイオマス
セクター別エネルギー消費量(数字はテラワット時、棒の長さはシェア)
セクター(上から):製造業、交通、家計、サービス業
エネルギー種別(左から):原油、ガス、電力、再エネ、地区暖房、石炭、その他
~交通部門は9割超が原油依存、家庭のガス依存大きいが止めづらい
ロシアからの輸入比率は最近大幅引き下げに成功も、天然ガスはまだ危うい
ドイツにおける天然ガスの貯蔵比率
~冬場に向けて鋭意積み上げているが、まだキャパの50%強どまり
足元ロシアから段階的に供給を絞られており、目標の9割達成は厳しい
ドイツのガス需要者
上から(大きい順に):製造業、家計、サービス業、電力、冷暖房、交通
2045年ゼロカーボンに向けた軌道と進捗状況
~今までにできたことのない速度での排出量削減が必要ながら
地政学リスク+インフレによる逆風(投資できる金額が実質目減りする)
が厳しい。。。
風力エネルギーを過去に例のないものすごい勢いで拡張(年10ギガワット)する計画になっているが、その実現は簡単ではない