本日(7/22)ドイツ連銀月報が出たのですが、ECB金融政策の上で焦点となっている「フラグメンテーション」関連でタイムリーなデータを公表してくれていますので、そのエッセンスを抽出してご紹介します。
●ユーロ圏主要国の中では、イタリアの政府債務比率がGDP比約150%と突出して高いため、足元の政局不安定化と併せて、イタリアは「フラグメンテ-ション問題」最大の問題児とみなされています。債務比率がイタリアより高いのは、欧州債務危機で債務再編に陥ったギリシャ(約190%)だけです。
●上から2番目のイタリア債務の内訳を見ると、大半が長期国債(左端)となっています。一番上のギリシャでは銀行貸入(薄めの青)がメインです。
●イタリア国債の平均償還年限は伸び縮みを繰り返していますが、足元8.5年(濃い目の青線)とまあまあ長めとなっています。ECBによる急速な利上げが、短期国債経由で利払い増に直結するわけではありませんが、長期国債利回り上昇は、既発債償還/借換時にダメージとなります。
●イタリア政府債務における債権者シェアは以下の通りとなっています。
2014年 2021年
ECB/各国中銀(1番上の濃い青) 3% 25%↑
国内銀行(3番目の濃い水色) 30% 24%
国内年金・保険(灰色) 11% 11%
家計(黒色) 8% 4%
外国人投資家(2番目の水色) 35% 27%↓
各国中銀と各国銀行が利払いの大半(約半分)の受取り手となっています。利払資金の海外流出は、欧州債務危機当時より抑えこまれているということも出来ます。
(グラフは対GDP比で表示)
●なお今後は、市場の混乱度合いの指標としての 独伊スプレッド に加えて、
https://www.investing.com/rates-bonds/de-10y-vs-it-10y
●イタリア政府の利払い負担度合いの指標としての イタリア国債利回り水準 をしっかり見ていく必要があると思います。
https://www.investing.com/rates-bonds/italy-10-year-bond-yield