日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220813 ビニールレコードの密かなカムバックについて

私が知らなかっただけかもしれませんが、ドイツのあちこち(総合電器店や本屋の片隅)で、ビニールレコードのコーナーが復活しているようです。

 

こちらの写真は、今日2年半ぶりくらいに訪れたデュッセルドルフ市内の大規模書店の一角のものです。

 

私が初めて自分でレコードを購入したのは高校1年生の時で、そのために貯めたお小遣い(確か2500円くらい)をぎゅっと握りしめて地元の小さなレコード屋を訪れ、今思えばマイホームを買うくらいのドキドキ感をもって最初のレコード(The Doobie Brothers)を買ったという記憶があります。

望みの音楽を聴くというのも昔は高価なひと仕事でした。今なら音楽サブスクを月1000円くらいでネット契約し、スマートスピーカーに話しかければ何でも自由に楽しめます。しかし昔は、まずラジオや雑誌の情報に基づいて少数のお気に入りレコードを厳選し、購入するところから始めなければなりませんでした。1枚2500~3000円もするレコードは、10枚も集めればひと財産でした。コレクションした音楽を聴く時は、そもそも「これから片面20分はこれだけに集中するぞ」という気合の入った状況でなければなりません。そのような状況が整ったら、セレクトした1枚をそっとジャケットから取り出し、ターンテーブルに乗せて、埃とりできれいに拭いてから針を慎重に落として、音楽に集中します。目をつぶってスピーカーの正面に座って、雑誌を眺めるなどのながら作業は一切排除して、音楽に集中して聞いていました。

 

私のような多くのシニアにとって、ビニールレコードで音楽を聴くというのは、CDやストリーミングとは異なる、格別な体験になっていると思います。

 

私と同じような経験をしているはずの50代以上の世代にとっては、上記の写真のようなビニールレコードコーナーは、ノスタルジー無限大で抗いがたい誘惑になるでしょう。並んでいるアルバムの品ぞろえ(1枚20ユーロ前後)も、恐らくビッグデータの分析結果にもとづく厳選チョイスと思われ、少なくとも私の心はメチャクチャゆすぶられました。さほど高価でないプレーヤー(50~200ユーロ)も一緒に多数売られており、まとめ買い衝動を抑えるのにかなり苦労します。横にいた嫁さんが一時帰国中だったら、郷愁大人買いを断行してしまっていたと思います。

 

ちなみにドイツでのCDの販売数(緑線)は年々急減期に減少していますが、ビニールレコードの販売数(黄線)は、水準自体はかなり低いながらも、ゾンビのようにじわじわと盛り返しています。

Schallplatte – Wikipedia

 

<私が自分で買ったレコード、最初の3枚>

   Boston - Boston [New Cd] Rmst, Reissue