ifo研から掲題について大変興味深いリサーチが出ていましたので、その内容についてご紹介します。
<輸出依存度(GDP比) ドイツ:青、中国:赤、米国:黒>
この中で示されている結果は、ifoのマクロモデルによる試算結果(長期的な実質GDP押し下げ効果)ですが、実際に中国との対立が発生した場合には、サプライチェーンのあちこちで目詰まりが発生する可能性が高いため、マイナス影響はもっと大きくなると思っておいた方がよいと思います。あくまで、大まかなレベル感、相対感の目安として頭に入れておけばよいと思います。なお、セクター別でプラスに影響するのは農業のみとのことでした。
①リショアリング(生産拠点を全てドイツ国内に戻す)
ドイツ 実質GDP ▲9.68%
②ニアショアリング(EU内やトルコ、北アフリカに生産を移転する)
ドイツ 実質GDP ▲4.17%
ドイツは米国、中国共に大きな貿易相手国なので
ドイツのGDPが落ちれば中米両国のGDPも相応に落ちる
③EUが対中関税引き上げ
ドイツ 実質GDP ▲0.52%
ドイツ以外のEU 実質GDP ▲0.38%
中国 実質GDP ▲0.42%
その他世界 実質GDP ほぼ不変(他の国や地域が穴を埋めるため)
④EUと中国の貿易戦争(お互いに関税引き上げ)
ドイツ 実質GDP ▲0.81%
ドイツ以外のEU 実質GDP ▲0.53%
米国その他 実質GDP ほぼ不変
⑤西側諸国(EU日米英豪加)が対中関税引き上げ
ドイツ 実質GDP ▲0.55%
ドイツ以外のEU 実質GDP ▲0.37%
米国 実質GDP ▲0.40%
中国 実質GDP ▲1.49%
⑥西側諸国(EU日米英豪加)と中国の貿易戦争(お互いに関税引き上げ)
ドイツ 実質GDP ▲0.76%
ドイツ以外のEU 実質GDP ▲0.49%
米国 実質GDP ▲0.48%
中国 実質GDP ▲2.27%
その他世界 実質GDP ▲0.24%
但し、EUと米国の間で自由貿易協定締結すれば
ドイツ 実質GDP ▲0.18% まで改善
⑦全ての専制国家に対する関税引き上げ
ドイツ 実質GDP ▲1.16%
⑧全ての専制国家との貿易戦争
ドイツ 実質GDP ▲1.69%