今年6~8月の3ヶ月間にわたり、全国どこでもどこまでも近距離電車やバスを乗り放題としてくれていた大人気商品「9ユーロ切符」が、いよいよ今月末で期限切れとなります。
足元最大の課題であるインフレを、少なくとも0.4%は押し下げてくれていたのですが、(9月CPIにはその反動が出ます)財政負担が大きすぎる上に、本当に困っている人だけを助けることになっていないため、今のところ後継策は講じられそうにありません。
ドイツ航空宇宙センター(Deutsches Zentrum für Luft-und Raumfahrt; DLR)が、この「9ユーロ切符」のドイツにおけるモビリティへの影響について調査した結果を発表していましたのでその内容をご紹介します。
- 「9ユーロ切符」は非常にシンプルでわかりやすい仕組み(かつ大盤振る舞い)だったので、おおむね好評(購入手続きも非常に簡単)。
- 3/4が50km以内の近距離移動での利用。
- コロナ後は他人との接触を減らせる自家用車利用が促進されたが、9ユーロ切符はその流れを押し戻し、公共交通機関利用を促した。
- ガソリン等のエネルギー消費を抑える上でも効果があった。
- 但し、公共交通機関利用者を本質的に増やす効果は乏しそう(9ユーロ切符なしでも今まで以上に公共交通機関を利用すると回答した人の割合はわずか9%)。
- 「9ユーロ切符」の実際の利用状況(本稿冒頭の棒グラフ)
①週末のお出かけ: 60%
②(平日の)私用全般:58%
③スポーツなど娯楽: 34%
④買い物: 33%
⑤休暇: 21%
⑥通勤・通学: 18%
⑦その他: 11%
⑧物品の運搬: 8%
⑨仕事中の移動: 5%
ちなみに、私自身もまさにほぼ上述のウェート通りに切符を使っていたという実感がありますので、当該調査は実態をよく表していると思います。