日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220911 キール研、来年ドイツGDP▲0.7%の予想

ドイツ5大研の一角、キール研(IfW)の直近経済予想(メインシナリオ)で、来年のドイツ実質GDPが▲0.7%となっていて話題になっていましたので、その内容を簡単にご紹介します。

 

下表の最初の行が実質GDPの四半期の走り(前期比)です。

今年Q3▲0.4%、Q4▲0.2%、来年Q1▲0.2%、Q2▲0.1%と4四半期にわたってマイナス成長が続き、その後は比較的強めの成長軌道(+0.5%程度)に戻るという予測となっています。

上表の上から順に(特に付記なければ前期比%)、①実質GDP、②個人消費、③政府消費、④設備投資、⑤建設投資、⑥その他投資、⑦在庫増減(寄与度)、⑧内需、⑨輸出、⑩輸入、⑪外需寄与度(寄与度)、⑫就業者数(千人)、⑬失業者数(千人)

      

 

 ただし、マイナス成長と言っても、デフレータ(下表2行目)が5.2%(CPI~3行目~だと8.7%!!)もありますので、名目ベースでの成長は非常に高く、実際の体感は、普通にイメージされている不況/リセッション(日本のように全てのものが縮んでいく感覚)とは全然違うものになると思います。

金利ではなく、インフレが成長を止めているということです。

また、人手不足があまりにもひどくて失業率は大して上がらないという点も、イメージが違いますので注意が必要です。

インフレで税収が増えるので、財政赤字も政府債務も大して悪化しません。


https://www.ifw-kiel.de/fileadmin/Dateiverwaltung/IfW-Publications/-ifw/Konjunktur/Prognosetexte/deutsch/2022/KKB_95_2022-Q3_Deutschland_DE.pdf