ifo景況指数で有名なifo研が四半期景気予測をアップデートしました。一言で言うと、「インフレに個人消費が食われるので来年は小幅マイナス成長(▲0.3%)になる」という内容です。失業者は殆ど増えませんし、来年後半以降の立ち直りも結構強いので、過度の悲観は禁物と思います。
6月時点での予想比、来年のGDPは4%下方修正、CPIは6%上方修正となっており、名目成長モメンタムを下方修正するような内容ではありません。
日本からは大変羨ましく見えますが、マイナス成長でも財政は非常に健全(財政赤字はGDP比▲1%台)かつ、経常黒字はGDP比6%程度の高水準が維持される見込みです。
本来景気実感に近いはずの名目成長は、今年+7.5%、来年+6.2%、再来年+4.8%と極めて高水準です。センチメントはインフレや戦争のせいで最悪なのかも知れませんが、名目の世界である株価や銀行ビジネス、税収にはプラス面もあることを忘れてはいけません。
GDPの四半期ベースの走り(前期比、下表最上段)では、今年7~9月期フラット、10~12月期▲0.2%、来年1~3月期▲0.4%と、確かにガス不足でそうなるかもというもっともらしい軌道になっています。来年7~9月期以降は当面前期比+0.5%成長が続くので、立ち直りはかなり力強いと見ているようです。
産業セクター別で見ると、近冬のマイナス局面で悪影響が大きいのは、商業・交通・ホテル・レストラン、企業向けなど各種サービス、IT/通信、建設となっています。
ちなみにユーロ圏は来年0.5%のプラス成長、インフレは8.2%となっています。
(上から順に、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ユーロ圏)
以下は関連のご参考です。
<日本語での報道ぶり例>
<FTのグローバルインフレトラッカー>
こういう感じで、インフレの上方修正にともなってそれに食われる実質成長を下方修正するという流れがずっと続いており、なかなか止まりません。