日独経済日記

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20221007 ドイツコロナ状況アップデート〜感染急増も規制強化はなさそう

こちらで心配していた通りの感染急拡大が始まっています。

20220930 ドイツコロナ状況アップデート〜いよいよ流行再開 - 日独経済日記

 

ただし、重症化や死亡リスクは少なく、もはやインフルエンザ程度にしか思っていないドイツ市民に対して、ワクチン接種、マスク着用、入場制限などを妙に義務付けると政治的に危険な上、落ち込みつつある経済に追加負担を強いるわけにもいかないため、各種行動規制が今後強化される可能性は低いと考えられています。

 

現状のコロナ規制の厳格度は、日本の半分程度で、電車の中以外でマスクをしている人はほとんどいなくなりました。人気レストラン・居酒屋は連日大混雑です。

https://www.bsg.ox.ac.uk/research/research-projects/covid-19-government-response-tracker

 

いつものように直近データを虚心坦懐に確認しておきます。

 

ドイツの再生産数(赤線;R)が1.00を上回る状況が続いており、冬場に向けての感染再加速がいよいよ本格的に始まりました。

 

国際比較に最も適したベンチマークである「7日間指数」(人口10万人当たり直近7日間の累計新規感染者数)でみると、日本(黄)の270人に対し、ドイツ(青)は578人と完全に逆転しています。

最近のドイツでは、多少具合が悪くても(症状が軽いうちは)PCR検査を受けない人が急増しているので、実際の感染者数ははるかに多いとされています。

 

市町村単位で見ると、直近週(右)はその前の週(左)に比べて、赤色部分がドイツ全域で急増していることが確認できます。

 

州別では、ザールラントが1000超のホットスポット化しているのに対し、ハンブルクは低下継続となっており、地域差がかなり大きくなっています。

ただし、人が完全に自由に動いているので、この地域差は悪化方向で解消しそうです。


年齢層別にみると、感染のメインが、35~59歳から60〜79歳の年齢層にシフトしてきました。今後死者が増えないか、注視が必要そうです。


ウィルスの種類としてはBA5:96.5%、BA4:2.4%、BA2:1.1%(いずれもオミクロンの一種)となっています。

オミクロンは、ワクチン接種や過去の感染で相応に重症化が防げるということが確認されています。

新たな強毒性の変異種が広がっているわけではないというのは安心材料です。


これだけ新規感染が急拡大しても死者は増えていません。引き続き60歳以上の高齢者(青+橙)がほとんどです。

 

重症患者数(赤線、右側は予測レンジ)はコロナ専用病床(黄線)数を超えてきており、年末ごろには集中治療対応重症病床(灰線)まで一杯になると懸念され始めています。

医療キャパに今後相応のストレッチがかかるものと覚悟しておいた方が良さそうです。



ドイツ国民の77.8%が少なくとも1回以上ワクチン接種済という数字は動かず、ワクチン容認派は増えていません(全83百万人中、18百万人が未接種のまま)。

ブースター2回が10.0%と微増を続けていますが、60歳以上、医療・介護関係者、持病持ちが対象であり、ブースター1回以上の合計は62.2%と増えていません。

ひと頃は街のあちこちに設置されていたワクチン接種会場はほとんど撤去されており、ふらり立ち寄ってアポなしで気軽に打ってもらえる状況ではなくなっています。

 

PCR検査キャパ(灰色棒)は週あたり280万件、実際の検査数(青色棒)は足元週76万人に増加、陽性率(赤点)は48%に上昇しています。

 

<ソース一覧>  

Corona Zahlen aktuell: Karte für Deutschland + weltweit (morgenpost.de)

https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Situationsberichte/Gesamt.html?nn=13490888