ドイツのショルツ首相が明日(11/4)中国を訪問し、新指導部発足後、G7首脳として初めて習近平国家主席と会談することになっています。
フォルクスワーゲン、BMW、ジーメンス、BASF、バイエル、メルク、ビオンテック、アディダス、ドイツ銀行、など、計12社の大企業幹部が同行します。いずれも中国ベッタリの企業です。
メルケル前首相は毎年のように(在任中累計12回)企業幹部を引き連れて訪中してくれていましたので、コロナの影響があったとはいえ、これらの企業としては遅すぎるくらいに思っているはずです。景気悪化が確実な情勢下で中国はこれまで以上に大切ということでしょう。
ショルツ政権の新たな対中戦略についてはまだ議論中であり、少なくとも発表はされていませんが、以下のような方向性と言われています。
- ドイツの対中政策は「Wandel durch Handel」(商取引を通じて体制を変えていく)だったが、実際にはドイツの自動車、化学を中心にドイツの対中依存がひどくなり、中国に言うべきことを言えなくなってしまった。
- しかし今後はロシアの教訓を生かして、強権国家である中国には今までと違った慎重な付き合い方に移行すべきである。
- 妙案はないが、台湾、ウイグル、知財権など、ドイツとして譲れない部分は中国にしっかり伝え続けるとともに、対話を通じて中国がなぜ危険な行動に出るのかを常に理解していることが重要になる。幸いロシアよりは遠く、軍事的脅威ではない。
- 中国はドイツを米国から引き離しておきたいはずだし、ジーメンスやツァイスなどドイツの技術をまだまだ必要としている。そういった立場をうまく利用して交渉していくしかない。
欧州各国からは当然ながら、以下のような感じで非常に冷たい目で見られています。
- ロシアで大失態を演じたばかりなのに、GreenやEUの反対を押し切って、経済的利益だけのためにノコノコと訪中しようとしている。
- マクロンとの同行を断っており、EU内の協調すら蔑ろにしている。
- 今回のドイツ訪中は、強権国家追認と捉えられるリスクが高く、想像しうる最悪のタイミング。
- 中国をロシアの代わりに大切にしようとしているようにすら見える。
ちなみにドイツの対中輸出は現地生産もあってあまり伸びていません(直接投資は増えている)が、基幹部品・資材の輸入は急増しています。