日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221104 ドイツ製造業受注、実質ベースで急減継続

9月のドイツ製造業受注は前月比▲4.0%、前年同月比▲10.8%と市場予想比非常に弱い見栄えになっていました。

大型受注の特殊要因もないので、弱いのは確かなのですが、前年同月比は、昨秋のコロナ後退でベースが強かったのでマイナスが大きく見えているという点には注意が必要です。

 

ドイツ連銀は名目インデックスの推移を併せて見ているようですが、下図の通り決して弱くはありません。企業の帳簿や請求書の金額は、概ね高水準で横ばいが続いているということです。

市場が注目している実質ベースの数字は、インフレで大きく押し下げられた後のものであり、現場の実感とはややずれている可能性があります。

 

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/auftragseingang-und-bestand

 

ちなみに国内生産者物価は9月時点で前年比+45.8%で、企業の価格転嫁意欲は強いままです。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/10/PD22_449_61241.html

 

なお、実質受注(赤:全体、黒:国内、青:海外)がすでにこれだけ軟化しているにもかかわらず、足元のGDPモメンタムがまだプラス圏(Q3 +0.3%)で踏みとどまっているのは....

 

コロナ後の受注(青)回復局面で、サプライ障害や資材・人手不足等のため思ったように生産(赤)できなかったため、受注残(黒)が過去最高水準に積み上がっており....

 

売上(赤:全体、黒:国内、青:海外)がまだまだ堅調に推移しているためです。

https://www.destatis.de/DE/Themen/Branchen-Unternehmen/Industrie-Verarbeitendes-Gewerbe/materialknappheit-industrieaktivitaet.html

 

ifoやPMIで示されているセンチメントの大幅悪化が、GDP大幅マイナスという形で出てくるまでには、いつもより時間がかかると見ておくべきでしょう。

https://www.ifo.de/fakten/2022-10-25/ifo-geschaeftsklima-weiter-schlecht-oktober-2022

 

https://tradingeconomics.com/germany/composite-pmi