今は昔、私が機関投資家の一員(端くれ)であった頃、ブルンバーグ端末は一人一台の必需アイテムでした。しかし、金融市場業務担当を外れると、高価なブルンバーグ端末を手元に置いておくことは許されなくなりますので、WEB等で手に入る無料サービスで何とかしようとすることになります。
そういった「あがき」の中で、無料ケーブルTVやYouTubeを含むWEBサイトで視聴できる Bloomberg TV は本当にすごい(価値が高い)と思っています。
https://www.youtube.com/channel/UCIALMKvObZNtJ6AmdCLP7Lg
その時々のホットイシューについて、その道の第一人者と思われる人たちが常時いとも簡単に集められており、視聴者はほぼリアルタイムで素晴らしい解説を聞くことができます。
昔なら、バイサイド(顧客)が相当儲けさせてあげているセルサイド(証券会社)に個別面談をアレンジしてもらって初めて聞けるかどうかという濃い内容が、無料ライブで垂れ流されているわけです。
英語のみにはなりますが、米雇用統計、CPIなどの重要指標やFOMCやECB記者会見のフォローにはBloomberg TVを活用することを強くお勧めします。
仕事もある中、TVをずっとライブで見ているわけには行かないでしょうが、週末のマーケットチェック用としては、BloombergTVの以下3番組が特に良いと思っています。
以下の私のコメント(◆以下部分)は、それぞれのVIDEO CLOPの要約ではなく、イチ投資家としての私にとってのインプリケーションを私なりの言葉で表現したものです。出ていれば必ずチェックするようにしていますが、「イマイチ得るものが少なかったなあ」と後悔したことは今の所一度もありません(最低でも英語の勉強にはなりますので)。
①Wall Street Week
〜40分程度。週を振り返って重要なテーマを一通りカバー。
◆企業幹部と話をしていると「売上は何とか維持できているが、コスト上昇負担が厳しく、今後需要低下の兆しもある」という感じ。
◆年初と比べると、NFP増加ペースは半減し、時給も少し低下し、金融環境もタイト化している。インフレがしっかりと低下に向かう確証はまだ得られていないが、利上げが効いていないということは決してない。
◆SECには規制大好き人間がわんさかいる。今後数年は金融規制がどんどん強化されると覚悟しておくべき。
②Real Yiel
〜20分程度。債券市場についてその週の振り返り。
◆コロナ後の超低金利局面でまとめて調達を済ませた社債発行体が多いので、当面サプライはスプレッド拡大のきっかけになりそうにない。
◆今のスプレッド(IG155 / HY463bp)はタイトすぎるような気もするが、いつ何をきっかけにワイド化するかはなかなかイメージが沸かない。リセッションがよほど長期化しないと格下げやデフォルト急増とはならないのではないか。
◆同じ6%でも、リーマンショック後のようにスプレッドが大半なのより無リスク金利が大半の方が持ってて安心できる。
③Balance of Power
〜40分程度。マーケットやビジネス関連の重要テーマを随時ピックアップ。
◆コロナ後の過剰貯蓄(リベンジ消費の原資)は大分使ったがまだ少し残っている上、これだけ雇用(特に人手を要するサービス)と賃金が強いと多少の利上げではなかなか需要が抑え込めない(のかもしれない)。
◆11/8の米中間選挙で共和党が勝ったら(上院は五分五分)、インフレ抑制、資本形成促進、デジタル資産や個人情報の取り扱い環境整備などにまず着手する。債務上限交渉では健全な財政復元を目指す。
◆共和党勝利でもウクライナ支援は不変。ただし、将来トランプが出てきたら状況は激変しうる。
◆中国ゼロコロナ政策緩和(China Reopen)観測の台頭は、欧州株、中国株、コモディティを押し上げ、一部米株からのシフトも見られる。ただし、中国医療キャパ不足の解決が問題。