日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221122 ドイツ企業の対中依存度はどんどん高まっています

自他ともに認めるグローバリゼーションの申し子であるドイツの対中貿易は輸出(黒)、輸入(赤)とも近年高い伸びを続けています。


その結果、2021年時点で中国との輸出は1,036億ユーロ(輸出内のシェア7.6%、米国に次ぐ2位)、輸入は1,430億ユーロ(輸出内のシェア11.9%、ダントツトップ)、輸出入合計での中国のシェアは9.5%となっています。

電機業界での貿易量はまだ米国がトップですが、中国は対EUを上回るところまできており、まだまだ伸びそうな感じになっています。

 

ドイツは多くの金属類(重要な産業用原料)を中国からの輸入に依存していますが、特にレアアースでのリスクが高いと認識はされています。

 

直接投資のデータはどうしても古くなってしまうの(下表右端は2020年時点)ですが、ドイツの対中直投残高は895億ユーロ(約13兆円相当)あり、そのうち自動車が38%、化学・製薬が8.6%、電機が8.2%、機械が5.1%となっています。

なお、ドイツ3大自動車メーカーの自動車売上のうち、中国は近年3~4割を占めています。

 

ロシアの教訓から、あらゆる面での中国依存度を引き下げるべき局面にきており、ドイツ政府も対中政策の見直しを進めているところ(対中依存度の度合いのディスクロを義務付けるなど検討中)ですが、中国で既に頑張っているドイツ大企業の本音としては

  • 中国は今後も重要な市場・生産拠点に変わりない
  • 中国依存度削減=中国ビジネス停止などではない
  • 政府は企業に米国OR中国という選択を無理強いすべきでない

ということのようです。

実際、今年(前半)のドイツ(大)企業の対中直接投資は過去最高レベルになっています。中国からの輸入への依存度は下げる努力をしつつも、中国市場で売りたいものをどんどん中国で作るために必要な投資はいとわない、という戦略のようです。

 

<上記グラフのソース> 

https://www.wiwo.de/politik/konjunktur/g20-gipfel-china-diese-3-grafiken-offenbaren-deutschlands-abhaengigkeit/28809358.html

https://www.zvei.org/fileadmin/user_upload/Presse_und_Medien/Pressebereich/2022-081_Chinathesen/Significance-of-China-for-German-electro-and-digital-industry_November-2022.pdf