https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-900432
(W杯観戦で忙しいので??)以下、単刀直入にポイントを列挙します。
ちょっと前までは低インフレ・高成長(+金融資産の含み益)といういい環境だったが、今は高インフレ・低成長(+含み損)と環境が劇的に悪化している。
金融機関は(救済などのお上の力に頼らず)自分の力で耐性を確保して欲しい。
実質GDP軌道シナリオ~リスクは下振れ、ガスが足りなくなると、マネー(金融政策)ではどうしようもない。
上から順に、灰色:2021/6予測、灰点線:2022/6予測、青:2022/11予測(5賢人)、橙:2022/6予測リスクシナリオ(エネルギー危機)
ガス価格~急騰後足元は一服、それでも去年前半までよりはずっと高い。
交易条件(輸出価格/輸入価格)は約10%悪化しており、これはオイルショック当時と同じ規模。このコストは企業にも家計にも銀行にも降りかかってくる。
これに上乗せして、金利上昇で家計や企業の利払い負担も上昇している。金融資産のバリュエーションが低下し、含み益も食いつぶされた。
上:名目金利、下:実質金利~金利が上昇したとはいっても、実質ベースではまだまだマイナス。金融環境はまだまだ緩和的。
ドイツ住宅価格~モーゲージ金利急騰(1年前1.3%→足元3%)で住宅需要減→価格軟化。但し、バブル崩壊的な価格急落の兆しはない。
このように見てくると、マクロ的なリスクは確実に増えており、企業倒産や金融システムのリスクも高まっていると判断せざるを得ない。
銀行新規貸出~金利上昇と銀行の貸出態度厳格化で若干鈍化も、クレジットクランチの気配なし。企業はコスト増対応にクレジットラインを活用している。
上:非金融企業向け、下:個人住宅ローン
貸出のGDP比は高いまま。
目先最も警戒すべきはエネルギー関連の破綻(UNIPERなど。今のところ国家介入で何とかしのいでいる)。
個人債務も金利上昇局面では要警戒。幸い近年の住宅ローン増加は高所得者層中心。
上:可処分所得比債務残高(%)、下:うち住宅ローン
企業財務は概ね健全で今のところ銀行の貸倒リスクは少ない。
上:貸倒引当金(貸出金額比%)、下:企業倒産件数(右軸)
銀行の自己資本は最近やや減少も十分高水準。
今のところストレスシナリオにも耐えられそう。