日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221201 ドイツ小売売上「ワニの口2.0」

先ほど10月のドイツ小売売上高について以下の通り発表がありました。

 実質:前月比▲2.8% 前年同月比▲5.0%

 名目:前月比▲1.7% 前年同月比+6.2%

 

名目(薄赤)と実質(赤)のインデックス(水準)を対比すると、きれいな「ワニの口」を形成しています。

 

もともと「ワニの口」というのは、日本財政が「歳出>>歳入」で放漫だ、という危機感を煽る文脈で使われていたのですが、最近は上記のように、名目と実質(インフレ分差し引き後)の関係が「ワニの口」に見えるものが多くなってきました。

 

本題に戻りますが、今回のドイツ小売売上のポイントは以下3点です。

  1.  前年同月比実質▲0.5%前後だった市場予想を大きく下回った(かなり弱い)。
  2.  前月比では凸凹を繰り返しているが、明確に下向きトレンドに入った
     という可能性が10月のデータで高まった。
  3.  名目はまだ上昇トレンドにあるようにも見えるが、コロナ中に蓄積した
     過剰貯蓄(リベンジ消費の原資)は年前半にほぼ使い果たしているので、
     今後はインフレによる押し下げに抗いきれなくなる可能性が高い。

<小売売上 前月比(実質)>~凸凹を繰り返しつつ下向き

 

<貯蓄率>~今年前半時点で、コロナ前の水準まで戻ってしまっている