日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230603 最近のAfD(極右)支持率急上昇についてのドイツメディアの報道ぶり

https://dawum.de/Bundestag/

 

最近の政党別支持率世論調査(上図は主要6機関平均値)で、極右AfD(青)が政権与党のGreen(緑)を有意に(誤差の2-3%以上)上回り、ショルツ首相の母体であるSPD(赤)にも肉薄して(一部調査では追い抜いて)います。

 

こういったAfD(ドイツのための選択肢)の支持率上昇傾向についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。

  • AfDの支持率上昇の責任はひとえにショルツ連立政権にあり、野党第1党であるCDU/CSUのせいにはできない。
  • 特に、石油・ガス暖房禁止新法ハーベック経済相の腹心辞任を巡るドタバタと連立政権内の亀裂は致命的だった。
  • 今や多くの国民が、政府に対する不満をAfDへの投票という形で表現したいと思い始めているようだ。
  • コロナ、ウクライナ戦争、難民、インフレ、エネルギー不足などといった多くの難題が次々と押し寄せ、生活も苦しくなる一方という環境下、安易なポピュリズムを受け入れる国民が増えている。
  • 政府にとって重要なのは、有権者を喜ばせることではなく、課題解決のために必要な政治を丁寧に説明し、着実に実行してゆくことだ。
  • AfDを支持しようとしている人は、自分が本当にドイツ民主主義の崩壊を望んでいるのか、今一度よく考えて欲しい。
  • AfDが旧東独で第一党を獲得する可能性が高まっている(下添州別支持率ご参照)。課題解決のための具体的政策など何一つ持っていないAfDに、政権をゆだねるような事態は何としても回避しなければならない。
  • 有権者を非難したり、右翼過激思想に警鐘を鳴らしたりしても何の役にも立たない。実際の政策でひとつひとつ課題を解決していくしかない。
  • ますます過激化するAfDをこれほど多くの人々が支持しようとしているのは恐ろしいことだが、支持率18パーセントのうち、政治的信条に基づく支持は3分の1だけ。残りは他党に対する不満票であり、取り戻せる余地は十分にある。
  • ショルツ首相は、外交面では奮闘しているが、国内問題でリーダーシップを発揮できていない(無責任に放任しているようにすら見える)。
  • 年初首相が抜擢したピストリウス国防相は、ウクライナ対応やドイツ国防軍立て直しにおける獅子奮迅の活躍で政治家人気トップとなっている。唯一の明るい材料。

 

<州議会選政党別支持率>~AfDは右から2番目

来年秋に州議会選が予定されているザクセン州(下から4番目)とチューリンゲン州(一番下)では、AfDが第一党の座を獲得する可能性がかなり高そうです。

https://www.wahlrecht.de/umfragen/landtage/

 

<AfD日本語WIKI

ja.wikipedia.org

 

<AfDのロゴ>

AfD党のロゴ。

 

【追記】<その後出てきた日本語解説記事>

jp.reuters.com