以下、IW(経営者団体シンクタンク)「Konjunkturprognose Frühjahr 2026」レポートの主要ポイント
■ 全体感
- 中東戦争(イラン戦争)により世界経済は新たな深刻な供給ショックに直面。
- 世界成長率は2026年 +2%に減速、世界貿易は +1.7%に鈍化。
- 今年のドイツ実質GDP成長率は+0.4%どまり(下図は四半期推移)。

- インフレは+3%に上昇し、成長を食いつぶす。
- 財政赤字は1560億ユーロ(GDP比3.4%)に拡大。
- 就業者数は19万人減、失業者は約300万人へ増加。
■ 1. 中東戦争による新たなショック
- ホルムズ海峡封鎖により世界の原油供給の約15%が一時的に消失。
- 原油価格(Brent)は2月→4月で約50%上昇。
- アジアの石油不足が深刻化し、世界の生産ネットワークに悪影響。
- ディーゼル・ケロシンなど精製品も不足し、輸送・建設・農業にも悪影響。
- 不確実性増大により企業マインドが大幅に悪化。
■ 2. インフレ再加速と金融政策のジレンマ
- 2026年のドイツのインフレ率は平均3%へ上昇見込み。
- 供給制約を示す指標がすでに上昇。
- 年後半にECBが小幅利上げを2回行う可能性。
- 賃金・価格スパイラルは現時点では確認されず。
■ 3. 世界経済:レジリエンスの再テスト
- 世界成長率は2026年 +2%へ減速(前回予測から下方修正)。
- 原油100ドルシナリオで世界GDPは▲0.2%、150ドルなら▲1%押し下げ。
- 米国:消費は堅調だが株価変動と高インフレで減速、成長率 +2%。
- 中国:輸出主導で成長 +4.3%、内需は弱いが石油備蓄で影響限定。
- ユーロ圏:成長 +1%、インフレ再上昇でECBは追加利上げへ。
■ 4. ドイツ:民間部門の停滞が継続
- 輸出は2026年 ▲0.3%へ下方修正(地政学リスク・競争力低下)。
- 民間投資は低迷、設備投資は2019年比▲11%。
- 建設投資は高金利・高コストで弱含み。
- 民間消費はインフレ3%のせいで実質横ばい。
- 成長の唯一の支えは「政府消費+防衛投資」。
■ 5. 労働市場:悪化が続く
- 就業者数は19万人減少、失業率は6.4%に上昇へ。
- 求人件数は歴史的低水準、企業の採用意欲は弱い。
- 高齢化・移民減少により労働供給も縮小。
■ 6. 財政:高支出+景気悪化+エネルギー高で赤字拡大
- 2026年の財政赤字は1560億ユーロ(GDP比3.4%)。
- 社会保障費(年金・医療・介護)が急増。
- 政府の燃料補助(Tankrabatt)などは効果が限定的で非効率。
- 債務比率は2025年の63.5%からさらに上昇へ。
■ 7. 経済政策:危機下での課題
- エネルギー・サプライチェーンのレジリエンス強化が最優先。
- 投資環境改善(規制緩和・税制改革・社会保険料の安定化)が不可欠。
- 消費刺激より「信頼回復」が重要(高貯蓄率=消費余力はある)。
- 労働時間延長(週・生涯)も必要。
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