日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240530 ドイツ銀行業界の展望(EYレポート)

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EYのドイツ銀行業界分析レポート「銀行バロメータ」(上記リンク、4月に100行を調査、5/27発表)のエッセンスは以下の通り:

  • 今後1年でドイツ経済が改善すると予想している銀行は30%のみ。
  • 7割が信用リスク増大、約半数が今後6か月以内の融資厳格化を予想。
  • 一方、自社事業については、現状を92%、1年後の将来は93%が肯定的に評価。
  • ECBの利上げによる金利上昇が銀行経営にとって追い風。
  • ビジネスモデル改革、ESG対応(含む新商品提供)、テクノロジー導入にも熱心。
  • イノベーション活用とコスト削減圧力を背景に、今後も銀行間の合併吸収や支店閉鎖は急ピッチで進む。
  • 38%新規顧客に対して既存顧客より高い預金金利をオファーするなど、金利が復活した現局面で預金確保に奔走
  • BaFin(メインの金融監督機関)は、金利大幅上昇、不良債権増加、不動産市場の調整、サイバー攻撃を銀行のリスクとして特に重視。
  • 国際金融市場の混乱のリスクはあまり高くないと見られている。
  • 殆どの銀行で、生成AIの活用検討や実装化が進められている。特にバックオフィス業務と顧客接点周りにAI活用の最大のポテンシャルを見ている。
  • 1/3の銀行が新規採用(特にリスク管理コンプラ、IT分野)に積極化しており、人員削減トレンドにブレーキがかかり始めている
  • リスク対応強化と収益性改善により、銀行セクター全体の回復力が向上(金融システムリスクは低下)。
  • 各種規制対応(Basel III/IV~自己資本、MiFID/MiCAR~顧客保護、DORA~デジタル対応、CSRD~ESG対応など)がイノベーションや競争力の阻害要因として強く意識されている。

 

ドイツ銀行業界関連投稿集>

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20240529 ドイツの気になるデータ5選(5月インフレ速報、GfKなど)

①CPI(ドイツ国内基準)速報(5月)~先月までの押し下げ方向のベーシス効果が今月なかったため、前年同月比は+2.4%と4月の+2.2%から上昇したが、前月比+0.1%への(市場予想以上の)減速は朗報。

https://tradingeconomics.com/germany/inflation-cpi


②HICP(EU統一基準)速報
(5月)~ECBが使うHICPベースでは前月比+0.2%/前年同月比+2.8%とイマイチ。但し、今後夏場の間は前年の発射台が高いため、前月比+0.3%くらいまでは前年同月比が下がって見える。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/05/PD24_213_611.html

マーケットは金利上昇で反応。

www.bloomberg.co.jp

 

③ユーロ圏マネーサプライ(4月)~M3前年比+1.3%。マネーサプライ(最初の図)にも銀行貸出(2番目の図)にも利上げのブレーキがしっかりかかっており、ECBの6月利下げ(引締度緩和)を正当化する内容

https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/ezb/geldmengenentwicklung-im-euroraum-april-2024-933262

 

④vdp不動産価格指数(Q1)~下げ幅は縮んできているものの、前期比でマイナス(住宅用(青)▲0.2%/商業用(紫)▲0.8%)が続いており、まだ下げ止まってはいない。ピーク比(2022Q2)では住宅用▲8.6%/商業用▲17.2%と他の住宅価格指数と整合的。

https://www.pfandbrief.de/site/de/vdp/immobilie/finanzierung_und_markt/vdp-immobilienpreisindex.html

 

⑤GfK消費者信頼感(5月)~総合指数は▲20.9とまだ低水準ながらも、高賃上げを受けた収入期待の上昇と貯蓄性向の低下は朗報。まもなく購買意欲の改善⇒個人消費回復につながりそうな内容。 

https://www.gfk.com/de/presse/konsumklima-bleibt-auf-erholungskurs

 

 

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20240529 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト類)

①ドイツ経済省GDPナウキャスト(月次)~Q2のGDP前期比予想は+0.1%に改善。悪化トレンドに歯止めがかかった感触で、各種景気先行指標(ifo、PIM、ZEW、Sentixなど)と整合的。ちなみにQ2GDP(7/30発表予定)の市場予想は前期比+0.2%前後

https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/06/13-konjunktur-bip-nowcast.html

 

②ifoCAST(隔週)~こちらはQ2前期比+0.76%とかなり強い。水準はともかく、前回比改善方向である点が①と同じである点に注目。

https://www.ifo.de/en/ifoCAST

 

③ドイツ連銀週次経済活動指数(週次)~こちらは四半期実質GDP前期比換算でゼロ成長ペースと低調継続。

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex

 

④実質賃金(Q1)~名目賃金(赤)が前年同期比+6.4%上昇の一方、インフレ(黒)は+2.5%と落ち着いてきたので、実質賃金は+3.8%と力強い上昇(2008年統計開始以来の最高値記録)となった。実質賃金がプラス転換してから3四半期経過しているので、そろそろ個人消費の復活が期待できそう。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/05/PD24_211_62321.html

 

帰化ドイツ国籍取得)者数(2023年)~昨年20万人に急増。1/3がシリア人(青)、2位はトルコ人(赤)。ウクライナ人は3%と少ない。いずれにしてもドイツは歴史的背景と少子高齢化に伴う人手不足を背景に、難民や移民に対してかなり気前よくドイツパスポートを与えている(2022年の日本の帰化者は約7千人)。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/05/PD24_209_125.html

 

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20240528 フォルトゥナ・デュッセルドルフ1部昇格ならず

ブンデスリーガ1部昇格を賭けた入れ替え戦(浅野琢磨を擁するボーフム VS 田中碧を擁するデュッセルドルフ)、フォルトゥナ・デュッセルドルフは初戦を3-0で勝利していたので、1部昇格がほぼ確実視されていたが、第2戦で0-3で追いつかれ、延長戦は0-0でPK戦に突入。最後は内野貴史選手がPKを外して敗戦/1部昇格ならずという結果になった。

フォルトゥナ敗戦が決まった直後、ファンの暴徒化を防ぐべく大量の警官隊がピッチに駆け込んだこともあり、何とも重苦しく、物々しい雰囲気となった。

 

<地元新聞ライニッシェポストの報道ぶり>

  • 「フォルトゥナ、苦い涙の谷に沈む」
  • 内野貴史のPK失敗により、デュッセルドルフは劇的な2部残留を決めた。
  • 内野は不幸の山の中で押しつぶされそうだ。介護者が付き添って23歳の彼を必死にサポートしようとしている。
  • 今回の入れ替え戦では、4年ぶりのブンデスリーガ1部昇格に対する期待が、選手とファンの間で否応なく膨れ上がっていた。
  • 最初のレグを3-0でリードしておきながら、逆転負けに終わったという事実は、想像を絶しており、選手もファンも完全に言葉を失っている
  • しかし入れ替え戦で1部のチームが2部チームを退けるのはよくあること(下表ご参照)。
  • ファンたちはどんな時でも引き続きフォルトゥナを応援し続けるだろう。

<これまでの入れ替え戦結果>~今回を含め、2部チームが1部チーム勝ったのは16回中3回のみ。

1部チームの平均値が、売上250百万ユーロ/人件費90百万ユーロであるのに対し、2部チームはわずか44/14百万ユーロと財務的に大きなハンデを背負っていることがその一因。



<試合結果>


<日本語報道例>~浅野選手は後半途中出場だったが、試合の流れを変えた上、PKでは重圧のかかる中の4番手としてしっかり決めて、逆転勝利に貢献した。PK戦で内野選手があんなことになるくらいなら、いっそ浅野選手が逃したいくつかの決定機を決めておいて欲しかった。。。

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www.soccerdigestweb.com


<日本人ブンデスリーガ一覧>

 

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20240527 ifo景況指数、意外と伸びず

https://www.ifo.de/en/facts/2024-05-27/ifo-business-climate-index-remains-unchanged-may-2024

本日発表された、ドイツで最も重要視される景気先行指標:ifo景況指数のエッセンスは以下の通り:

  • 総合指数は89.3と前月比ほぼ横ばいにとどまり、PMIやZEWから大きめの上昇を期待していた市場予想90.4と比べると弱い内容。
  • 景気サイクル的にも、リセッション領域にドップり漬かっており、回復局面への回帰がそう簡単でない感じに見える。

  • おおまかな業種別にみると、サービスがやや足踏み。
  • 業種別ヒートマップで好況(赤)なのは、相変わらず飲料(11)、石油(19)、その他輸送機器~実質的にエアバス(30)、旅行関連(79)、警備・セキュリティ(80)で、特段裾野のひろがりは感じられない。

 

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20240526 ドイツの気になる世論調査結果5選(政治家人気トップ10、欧州議会選など)

①政治家人気トップ10~ピストリウス国防相がトップ独走継続。来秋の選挙ではショルツ首相の代わりに首相(筆頭)候補に推すべきとの声も出始めている(が本人は固辞)。メルツCDU党首株が浮上する一方で、ショルツ首相の人気低迷は継続。

 

欧州議会(6月9日)~極右AfD(青)が前回(2019年)から5.7%pt得票を伸ばし、第2党に躍り出る見込み。但し、ここ半年くらい、各種スキャンダル発覚/反極右デモ/極左ポピュリズム新党誕生などを背景に支持率の低下が続いている(④ご参照)。

 

③東独3州(9月1, 22日)~3州とも(全独ベースでは失速気味の)AfDがしっかりトップを維持しており、「極右躍進」とドイツで大問題となることが確実な情勢。

 

連邦議会(来秋)~AfDの支持率急低下が続き、SPDに並んだ。②(欧州議会選ベース)よりSPDとFDPの支持率がやや高い。

ちなみに上記②~④のデータの誤差は1~2%程度(これくらいの差であれば実際の選挙で逆転が十分ありうるという目途)。

 

⑤債務ブレーキ(新規債務をGDP比0.35%以内に制限する憲法の条項)について~緩和賛成38%(左派政党での支持大)に対して反対56%と健全財政堅持に対する国民の支持(バラマキに対する反対)は根強い。

 

上記のデータソース:

www.forschungsgruppe.de

dawum.de

www.wahlrecht.de

 

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20240525 週末のBloombergより

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FOMC議事録もデータも「higher for longer」をサポートする内容で、年内利下げ期待は1回半に後退。
◆2年国債金利は5%近くまで上がってきているが、株高やスプレッド縮小などのため、金融環境は利上げ開始前と同じくらい緩和的に戻っている。FEDも現行の金利が本当に充分引き締め的なのかを疑い始めている
◆ウェートが大きい家関連のインフレはゆっくり下がってきそうなので、インフレが急上昇するリスクは低そう(実際ボラも低い)だが、万一急上昇して利下げ期待が死んでしまうようだと市場はかなり荒れそう。
キャリートレードとして引き続きクレジット商品は魅力的だが、割高なバリュエーション(低スプレッド)に注意(企業業績/ファンダメンタルズと需給/テクニカル的にはOK)。
社債の起債は引き続き活況(アリババCB45億ドルなど)ながら、夏休みに向けてサプライは夏枯れに向かう。一方で投資家の待機資金は潤沢(かつ高利回りで運用出来ている)。
HYのメディア/テレコム企業の中にデフォルトしそうな企業が出始めているが、市場を混乱させ、スプレッド全体がワイド化するような展開はまだまだ想定しづらい

 

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◆利下げ期待は一時の年内6回強から1回半に後退しているが、金利の悪影響以上に景気/業績好調、生成AI活用進捗(AIへの設備投資活発化⇒中長期的生産性向上も期待できる)で、一進一退ながらも株価は裾野の広がりを伴う上昇基調にある。
中国経済はまだ弱弱しいが、回復の兆しが見え始めている。GDP+4.7%のうち、自動化/デジタル化関連(製造業中心)が+3.3%pt、脱炭素関連(EV、太陽光など)が+1.7%ptプラス寄与しており、不動産業界からの▲1.4%pt押し下げ分を補っている
◆AI活用やデータセンターなどの関連施設の急拡大で、電力需要の急増が見込まれている。小型モジュール炉原子力発電で個別供給するのが環境面でも合理的。技術的には確立しているが規制とコスト面が課題。
◆(米政府債務の膨張が問題になっているが)もし仮に流動性高く世界の金利ベンチマークになる米国債市場が存在しなかったら、金利の居所は分かりにくくなるし、金融政策も容易でなくなる。
◆債務残高の大きさ自体は、成長率(税収)が金利(利払い)を上回っている限り問題ではないが、金利を除いたプライマリーバランスが大きな赤字であることは大問題。
◆赤字の規模以上に、その赤字を政治的にマネージする能力や意思がないことが大問題。
◆国際比較上米国は税率がかなり低いので、経済成長を損なわずに税収を増やすことは十分可能なはず。
◆次期米大統領が誰になっても、そろそろ財政問題がトップイシューになるという悲観的見方もあるが、財政バランスが極端に悪い日本の例が示すように、(特に国内資金で賄われている限り)財政危機はそう簡単に勃発するものでもない。
トランプ政権2.0は1.0と全く異なる経済政策になりそう。移民受け入れに急ブレーキをかけ、金融政策に介入すれば経済はかなり混乱するはずで、不透明感が大きい。1.0の延長線上で考えてはいけない
◆バイデン政権2.0なら、多少の増税と従来の延長線上のグリーン投資促進くらいで不透明感は小さい。
◆バイデン、トランプ共対中関税を切り上げようとしているが、バイデンが安全保障上の懸念が大きい品目にターゲットを絞っているのに対し、トランプは全品目を対象としたうえで、ゼロサムゲームとしての貿易赤字削減を目指している点が異なる。
◆中国は自国内需を拡大することなく、過剰生産能力を欧米市場への輸出に使おうとしているが、欧米諸国はそんなことを受け入れるわけがない。中国は次のアクションを求められる。
◆今年大学を卒業する人たちは、コロナのためリモート授業で大学に入った人たち。幸運を祈る。

 

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