日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240426 ドイツの気になるデータ5選(税負担、インフル流行など)

①税・社保負担OECD、2023年)~ドイツでは総労働コスト(賃金+所得税+労使が負担する社会保険料等)のほぼ半分(47.9%)が租税/保険料でベルギーに次ぐ世界2位の高負担。OECD平均は34.8%。日本は33%と低い方。

https://www.oecd.org/newsroom/labour-taxes-rise-across-oecd-countries-amid-persistent-inflation.htm

 

②インフルエンザ流行度~患者数490万人、新規感染率5.9%(最近コロナはほとんどなし)と、例年比やや高めながらも減少傾向(下図赤線)。

https://influenza.rki.de/Wochenberichte/2023_2024/2024-16.pdf

 

③パートタイマー比率(2023年)~男女計31%、女50%、男13%。働き方の多様化の進行とともにじわじわ上昇中。

 

④今年のドイツ経済成長率見通し~引き続き主要国中最低

horizontal bar chart visualization of G7 and BRICS countries' real GDP growth forecasts for 2024

 

⑤ショルツ首相の仕事ぶり評価~「悪い」58%/「良い」36%

 

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20240425 GfK消費者センチメント解説

画像

 

 

 https://www.gfk.com/de/presse/konsumklima-zwei-jahres-hoch-auf-niedrigem-niveau

ドイツ経済復活のカギを個人消費(実質所得上昇の帰結)が握っているものの、今のところその回復は予想以上に遅れている。今局面では個人消費や所得周りのデータを特に注視しておく価値があるので、今月のGfKデータのエッセンスを以下の通りまとめておく。

  • ドイツの消費者心理は回復を続けているが、水準はまだかなり低い(冒頭図)。

  • 所得期待(下表2行目)は顕著に改善、経済期待(1行目)と購買性向(3行目)は緩やかに増加。貯蓄性向(下から2行目)は高水準維持。

  • 経済期待:ドイツ経済に対する自信は欠けたままで、悪い雰囲気が続いている。
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    所得期待:賃金と法定退職金が今後も上昇し続ける見込みである一方、インフレは低下方向。家計の購買力には強い追い風

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    購買性向:所得期待が大幅に高まった割に、購買性向は依然として極めて低い水準(ロックダウン当時以下)に留まっている。

  • 貯蓄性向:インフレや経済への不安から、消費を抑え、貯蓄に励んでいる(4月は季節的にも上昇しやすい)。

  • 担当者総評コメント「消費者心理の改善は、主に所得期待によるもの。給料の上昇と最近のインフレ率低下が、一般家庭の実質所得と購買力を高めている。」

 

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20240425 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、労働コスト、ECB経済月報など)

①ifoCASTGDPナウキャストの一種)~Q1実質GDP(4/30速報発表)前期比▲0.43%と弱目の予想。但し、Q2予想が+0.97%まで切り上がっており、イリクリなどで高めに出る可能性あり。ちなみに市場予想はゼロ近傍でプラスマイナス0.3%程度に割れている模様。

ifoCAST | Facts | ifo Institute

<構成要素>

https://www.ifo.de/en/ifoCAST

 

②時間当たり労働コスト(全産業、2023年、社会保険料などの労働副次コスト等含む)~ドイツは41.30EUR/時でEU平均の31.80EUR比で3割高。うち製造業は46EUR(EU平均32EUR)、サービス業は39.8EUR(同31.8EUR)。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/04/PD24_165_624.html

 

③グローバル経済~世界経済が回復し、支出が貿易品にさらにシフトするにつれ、ユーロ圏の輸出の伸びは今後数四半期で加速するはず、と評価。日本についてっは「インフレと賃金の伸びが堅調に推移しており、日銀はマイナス金利政策を終了した。」とコメント。

 

④ユーロ圏経済~サービス業主導でゆるやかながらも改善に向かっている。但し、企業や住宅関連の投資は弱く、リスクはまだ下振れ方向。

 

⑤インフレ見通し~市場はECB目標2%の達成をほぼ確信。

 

③~⑤のソース:ECB経済月報(4/25発表)WEB翻訳でざっと目を通す価値大

www.ecb.europa.eu

 

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20240424 外国人労働者人気国ランキング:ドイツは5位、日本は6位

https://www.bcg.com/press/24april2024-deutschland-beliebtestes-nicht-englischsprachiges-land

経営コンサル会社ボストン・コンサルティング・グループや職業斡旋会社ステップストーンなどが共同で発表した国際調査結果「Dream Destinations and  Mobility Trends」の内容が大変興味深かったので、そのエッセンスをご紹介する。 

  • 4月24日に発表された上記報告書は、188か国の従業員15万人を対象として昨年10~12月にかけて調査されたかなり大規模なもの(下添)。
  • ドイツは最も人気のある勤務地国世界ランキングで5位となり、英語圏ではトップ
  • ただし、2018年にドイツは2位だったことがあり、近年は凋落傾向にある。
  • 日本はドイツに次ぐ6位
  • 上位には、1位オーストラリア、2位米国、3位カナダ、4位英国と英語圏国が並ぶ(冒頭図)。
  • グローバルベースでの平均では、調査対象者の約4分の1が海外での仕事を積極的に探しており、60%以上が他国への移住に積極的。
  • 仕事のための海外移住意欲は特にアフリカで高く、国別トップ3は①ガーナ(74%)、②インド(54%)、③トルコ(35%)。
  • 一方、ドイツでは海外移住志向が低く、わずか7%。希望先もスイス、オーストリアとドイツ語圏が中心
  • 魅力的都市ランキングでは、ベルリンが6位、東京は9位。1位はロンドン。但し、求職者は特定の場所というより求人条件の魅力に大きく左右される。
  • 出ていく理由(緑):①金、②キャリア、③生活水準、④具体的求人、⑤成長

    留まる理由(青):①家族、②郷愁、③費用、④スキル不足、⑤言葉の壁

  • BCG担当者「海外からの労働者獲得競争では、海外から来る労働者に魅力的な労働条件と組織的サポートを提供する企業が勝つ。」「ドイツでは労働許可証取得が非常に大変で、競争で苦戦しやすい。」

  • <調査対象>

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20240425 ドイツ政府経済見通しのエッセンス

https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2024/04/20240424-fruehjahrsprojektion-2024.html

ドイツ政府が昨日発表した春季経済見通しのエッセンスは以下の通り:

  • 概ねコンセンサス通り(上表ご参照)の予測値ながら、今年の成長率0.1%上方修正(0.2⇒0.3%)がニュースのヘッドラインとなっている。
  • まもなくドイツ経済が好転する兆候が増えてきている。
  • エネルギー価格が予想よりも早く/大きく下落した結果、エネルギー集約型産業が(まだ低水準ながらも)年初から生産を拡大し始めている。
  • エネルギー価格とともにインフレも低下し続けており、購買力強化を通じて個人消費の回復も支えている。今後の景気回復はここが主力になる。
  • 世界景気の加速⇒国際貿易量の増大⇒ドイツの輸出回復にも期待できる。
  • 但し、需要の水準はまだ低く、資金調達コスト(金利)も高いので、投資の力強い回復は期待薄
  • リセッションという割には労働市場での人手(特に熟練労働者)の不足が鮮明。雇用増が続き、失業率も低下に向かう。
  • インフレは低下が続き、来年は1.8 %とECB目標(2.0 %)を下回る。
  • 低迷する潜在成長率(足元0.4~0.8%かつ低下傾向と言われている)を回復させるためには、イノベーション(デジタル、再エネ)強化、官僚主義削減、労働力不足対応の3つが必要。
  • 労働投入不足解消のためには、より多くの人が自発的に、より長く働くようにするための労働奨励金の導入などが必要。

 

<主要計数>

 

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20240424 ドイツの肉類に表示されている「飼育状況」ラベルについて

https://haltungsform.de/

ドイツのスーパーで売られている肉・卵類の多くに、食品比較用参考情報として上図のようにカラフルな「飼育状況(Haltungsform)」ラベルが表示されている。特設サイト(上記)での解説をベースにエッセンス(活用法)をまとめると、以下の通り:

  • 消費者に対して、動物が飼育されていた状況に関する透明性と信頼性の高い情報を提供することを目的とする統一畜産表示。
  • 動物福祉のレベルを4(プレミアム)/3(放し飼い)/2(優良畜舎)/1(畜舎)の4段階で表示。
  • 【牛肉の例】
    1 400kg超の1頭あたり最低2.2㎡/畜舎内係留あり/QS基準準拠の飼料 など
    2 同3㎡/畜舎内係留なし/QS基準準拠の飼料 など
    3 同4㎡/畜舎内運動場あり/遺伝子操作のない飼料 など
    4 同5㎡/常に外に出られる/遺伝子操作のない飼料+6割以上地産地消 など

https://haltungsform.de/wp-content/uploads/20221021_ITW_Haltungskriterien_Tabellen.pdf

Eine Frau steht im Supermarkt und blickt kritisch auf eine Süßigkeitenverpackung.

 

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20240424 ドイツの食料品に表示されている「栄養スコア」について

さまざまな製品のニュートリスコア

ドイツのスーパーで売られている加工食品の多くに、食品栄養価比較用参考情報として上図のようにカラフルな「Nutri(栄養)スコア」が表示されている。ドイツ消費者団体のユーザー目線での解説をベースにエッセンス(活用法)をまとめると、以下の通り:

www.verbraucherzentrale.de

  • Nutriスコアは、加工食品の栄養価比較を容易にするための参考データ。
  • 栄養価として好ましい成分とそうでない成分を評価した上で、A:高評価~E:低評価に分類。
  • メーカーが自主的に採用(表示されていないものもたくさんある)。
  • 食物繊維、タンパク質、果物、野菜、豆類が多いほど高スコア
    高カロリー、飽和脂肪酸、糖分、塩分が多いほど低スコア

  • 香料や添加物などは評価対象外
  • 異なる製品間の比較にはあまり意味がない(ソーセージのEとドライフルーツのAを比較すべきでない)。あくまで同一グループ内の製品間での比較に活用すべき(フルーツミューズリとチョコレートミューズリの比較など)。
  • ベルギー、スイス、オランダ、スペイン、ルクセンブルクなど、近隣のヨーロッパ諸国の一部でも、拡張栄養表示としてNutriスコアを活用している。
  • Nutriスコアは食品学研究の進捗と共に適宜改善されている。

 

<政府の解説>

www.bmel.de

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