日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

雇用

20220921 ドイツ連銀月報景気短評のエッセンス

毎月下旬にドイツ連銀月報(英語版はかなり遅れて出る)がリリースされているのですが、その冒頭には必ずドイツ景気についての短評(Kurzberichte, Kunjunkturlage)が出ており、特に現在のような景気の転換点ではチェックする価値が高いと思っています。 そ…

20220911 ガス価格2倍はドイツGDPを2%押し下げ

ドイツ経営者団体のシンクタンクであるIW(ケルン)研が、天然ガス価格高騰(原油価格も相応に釣られて上昇することを勘案)がドイツ経済にどのような影響を与えるか試算しています。この分析のポイントは以下の通りです。 左)シナリオ1〜ガス価格がQ2の+5…

20220901 解釈が難しい7月ドイツ小売売上

先ほどドイツ連邦統計局より、7月小売売上高の発表がありました。 7月(単月) 年初来累計(1~7月) <共に前年同期比> 実質(濃い赤): ▲2.6% ▲0.1% 名目(薄い赤): +6.1% +6.4% Einzelhandelsumsatz im Juli 2022 um 1,9 % höher als im Vormonat…

20220831 最近の失業者/失業率増は、ドイツ経済にむしろポジティブ材料

つい先ほどドイツ連邦雇用庁から8月分のドイツ雇用統計が発表されました。 以下のような失業率のグラフだけ見て「リセッション入りでドイツでも失業者急増が始まった」と勘違いしてしまう人がいるかもしれないので念のため解説しておきます。 Germany Unempl…

20220823 ドイツ総合PMI、Q3GDPのマイナス転落確実な水準

ドイツの今年前半の実質GDPはプラス圏を維持してきた(Q1前期比+0.8%、Q2同+0.0%)のですが、総合PMIの7月と8月分がかなりマイナス領域に食い込んでいるので、Q3(7~9月)を前期比プラスにまで戻すのはほぼ不可能と思われます。 https://www.pmi.spglobal…

20220812 ガス価格2倍はドイツGDPを2%押し下げ

ドイツ経済研究所(IW、在ケルン、経営者寄り)のこちらのリサーチによると Energiekrise: Mehr als 300.000 Arbeitslose durch hohe Gaspreise - Institut der deutschen Wirtschaft (IW) (iwkoeln.de) 今冬は平年比大きな供給不足のため、エネルギー価格が…

20220802 ドイツの人手不足はますます深刻化しています

先ほど発表されたIfoサーベイによると、ドイツ企業の人手不足は過去最高水準 にまで悪化しているようです。賃金/インフレには上昇圧力、景気には下押し圧力となっています。 https://www.ifo.de/pressemitteilung/2022-08-02/fachkraeftemangel-steigt-auf-a…

20220802 ドイツ連銀 The German economy at a glance

ドイツ連銀が毎日こちらにアップデートしてくれている The German economy at a glance に私なりのひとことコメントつけてみました。 各種ドイツ経済指標を、ドイツ連銀がどのようなグラフでモニタリングしているのかがわかります。 The German economy at a…

20220729 ドイツGDP、CPI、雇用 おまとめコメント

①本日ドイツ2022年第2四半期のGDP速報が発表され、懸念されていたマイナスは回避し、前期比フラットで着地していました(Q1は+0.8%と大幅上方修正)。 速報なので内訳が見えない上、過去に遡って結構修正されている(昨年Q3▲1.0%pt、Q4+0.3%、今年Q1+0.6%な…

20220724 ドイツ連銀月報の経済コメント抜粋

先週末ドイツ連銀月報が発表された(ドイツ語のみ、英語はしばらく後)ので。。。。 https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-juli-2022-894660 今ホットイシューとなっているイタリア国債に関係のある部分(特別…

20220714 ロシアからのガスが全部止まった場合のドイツ産業への影響

掲題についてのスイス/ドイツのシンクタンクPrognosの分析結果をご紹介します。 Lieferausfall russischen Gases – Folgen für die deutsche Industrie (prognos.com) 7月以降、ロシアからドイツへのガス供給が完全に止まったままになった場合には、【結論】…

20220630 ドイツ失業者/率急増はウクライナ難民大量受入れによるもので、景気悪化によるものではありません

つい先ほどドイツ連邦雇用庁から6月分のドイツ雇用統計が発表されました。 ヘッドラインの失業者数と失業率が想定外の急上昇をしており、戸惑っている方も多いのではないかと思いますが、すべてウクライナ難民大量受け入れ(ウクライナ人労働力人口、2月比+4…

20220618 令和4年度版「高齢社会白書」に想う

内閣府の「高齢社会白書」によると、2020年時点での日本の平均寿命2020年は、男性81.56 (前年比0.15)年、 女 性 87.71(同0.26)年 となっています。男女とも平均寿命は今後も延び続け、2060年には男性84.66(10年あたり+0.78)年、女性 91.06 (同+0.84)…

20220610 ドイツ連銀によるドイツ経済中期見通し

本日ドイツ連銀がドイツ経済中期見通しを発表しました。 毎年6月と12月中旬頃に今後3年程度のドイツ経済見通しをアップデートするものですが、発表直後の数か月間は、ドイツで最も信頼すべき直近経済分析として重視されます。 https://www.bundesbank.de/res…

20220608 OECD経済予測アップデート(ドイツ部分)

本日OECDの最新経済見通しが発表されました。題して「The price of war」=戦争の代償。ウクライナ危機によってたくさんの命が失われているだけでなく、 いかにGDPが押し下げられ。。。 (昨年12月予想比、2022年ドイツGDPは+4.1%⇒+1.9%と半減) いかにイ…

20220601 ドイツ雇用市場、引き続き堅調

昨日ドイツ連邦雇用庁から5月分のドイツ雇用統計が発表されました。当局としての評価は、ウクライナ危機長期化にも関わらず、ドイツ雇用の改善継続、となっています。 以下エッセンスをご紹介します。 ●季節調整後の失業者数は▲4千人と減少継続も、▲15-16千…

20220530 ドイツでも賃金・物価スパイラル不可避の情勢

今朝、ドイツ連邦統計局から発表された2022年1-3月期賃金統計によると、 名目賃金(青線)は前年同期比+4.0%と高水準を維持したものの、 インフレ(黒線)が+5.8%と大きく上昇したため、 実質賃金(赤線)は▲1.8%と大きなマイナスに転じていました。 この…

20220529 ドイツ経済ボディスキャン

ドイツ連銀(Bundesbank)が、ドイツの代表的経済指標を「彼らが見ている形の」グラフで随時アップデートしてくれていますので、大変便利です。 現在の断面を全身をボディスキャンするようなイメージで確認しておきます。ドイツ連銀が個別に解説してくれてい…

20220518 ドイツ製造業の受注残はどんどん積み上がっています

今朝ドイツ連邦統計局から3月製造業受注残高統計が出ていましたのでご紹介します。 受注残高(実質ベース) 前月比+0.6%、前年同月比+2.7% 売上の8.0か月分(前月比+0.1)と過去最高値に到達 資本財 11.8か月分(前月比+0.4)~3月の伸びを主導 中間財 4.0…

20220514 株主よりもっと顧客と社員を重視する経営が必要

以下あくまで私見です(異論噴出は覚悟の上で敢えて書いています)。企業には株主以外にも、債権者、顧客、社員、社会(雇用、税収、環境)といったステークホルダーが存在します。株主は企業における資金の流れ(waterfall)の一番下におり、最も高いリスク…

20220513 ドイツ経済の経済ブロック別依存度見える化

スイス・バーゼル大発祥の調査会社プログノス(Prognos)から「その後の世界」と題された興味深いレポートが出ています。 ウクライナ危機後の世界においては、経済圏のブロック化(分断)が進む可能性が高まっていますが、ドイツ経済が現時点でどのブロック…

20220504 ユーロ圏PMI、サービス主導で堅調

先ほど4月ユーロ圏総合PMIの発表があり、55.8(前月54.9)と、節目の50.0を大きく上回るしっかりとした内容でした。PMI Releases (markiteconomics.com) ウクライナ危機勃発による強い逆風を受けながらも、もともと雇用の堅調が維持されつつコロナが沈静化に…

20220503 ドイツ労働市場は引き続き堅調

本日ドイツ連邦雇用庁から4月分のドイツ雇用統計が発表されました。一言でいうと、 ドイツ雇用の力強い改善継続も、ウクライナ危機で改善ペースはやや鈍化 といったところかと思います。 以下エッセンスをご紹介します。 ●季節調整後の失業者数は▲13千人と減…

20220501 ロシアのガスが止まるとドイツはどうなるのか

掲題の大問題については誰も明確な答えを示しておらず、漠とした不安だけが膨らむ状況が続いているのですが、最近ドイツの主要メディア等で報じられている材料を集めて整理すると、ざっくりではありますが以下のような感じになると思います。 EUのエネルギー…

20220420 ロシアからの事業撤退が簡単でない4つの理由

侵略国ロシアで平然とビジネスを続けていると「なぜ早く撤退しないのか」と糾弾され、レピュテーションリスクが高まりやすい環境ではありますが、ロシアからきれいに撤退するのは簡単ではありません。平時でもロシア事業からの撤退には10~12か月を要すると…

20220324 ifo研ドイツ経済予測アップデート

ドイツの最も重要な景気先行指標である ifo景況指数 の発表元であるifo研の経済見通しがアップデートされたのでご紹介します。 コロナに上乗せされたウクライナ危機のせいで見通しがいつにも増して不透明なため、今回は ①基本シナリオ と ②代替シナリオ の二…

20220217 EUR金利正常化ウォッチ

ロシア問題の緊張感が再び高まっているので、若干金利が反落しており(金は急騰)、現時点ではユーロ3ヶ月物金利プラ転タイミングは12月初め頃にやや繰り下がっています。 https://www.theice.com/products/38527986/Three-Month-Euribor-Futures/data?marke…

20220201 ドイツ労働市場は引き続き堅調

本日ドイツ連邦雇用庁から1月分のドイツ雇用統計が発表されました。一言でいうと、 オミクロンをものともせず、1月もドイツ雇用の力強い改善継続 ということかと思います。 エッセンスを以下ご紹介します。 ●季節調整後の失業者数は(▲6-10千人の市場予想を…

20220131 ドイツ10年国債利回りがプラ転しました

ドイツ10年国債(ブンズ)の利回り(下図は超長期チャート)は、2019年5月以来ずっとマイナス圏での推移が続いていましたが、 本日ようやくしっかりとプラス転換しそうな感じになってきました(日中下図は2日チャート)。 きっかけはドイツ1月インフレ指標。…

20220124 ユーロ圏とドイツの総合PMIについて

本日IHS Markitからドイツを含むユーロ圏の1月総合PMI(有益な景気先行指標)が発表されました。 PMI Releases (markiteconomics.com) 52.4という数字自体はほぼ予想(52.6)通りの水準であったにもかかわらず、オミクロン拡大による景気減速継続が確認され…