【一言総括】経済低迷長期化で失業がじわじわ増え、求人は減っているが、失業者が激増するリスクは小さい。就業者数×賃金は非常に堅調であり、まもなく個人消費回復の背中を押し始める見込み。
https://tradingeconomics.com/germany/unemployment-change
ドイツの9月雇用統計では、季調済失業者数が前月比+17千人と、市場予想(+12千人)比やや弱めのヘッドライン。各種景気先行指標の回復が腰折れし始めている中、景気遅行指標としての雇用の軟化が長期化しそうな気配。但し、後述の通り、高水準の賃上げを続けながら就業者数は増え続けているので、雇用環境全体として決して弱いわけではない。
●失業率<国内基準>~6.0%で横ばい。2022年以降の失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるものだが、基調も悪化方向であることに疑いの余地なし。連邦雇用庁は「景気低迷による労働市場への影響が顕著」とコメント。
https://tradingeconomics.com/germany/unemployment-rate
<以下◆4つはドイツ連邦雇用庁月報より抽出したもの>
◆就業者数~これまでずっと上昇を続け、過去最高水準を更新してきたが、8月は前月比▲21千人と久々の減少(季調後、1か月遅れ/7月+7千人/6月+5千人)。
◆操短~(データとしては2ケ月遅れながら)7月212千人(6月220千人/5月196千人)でと横ばい継続。但し足元再び新規登録がやや増えている模様で、引き続き今後の人員削減開始の予兆として要注目。
◆求人数~新規流入(下線)は小反発も、求人残高(上)の低下トレンドが継続。水準としてもコロナ前を下回り続けている。
◆失業率<国際労働機関(ILO)ベース>~ドイツは3.5%と最近やや悪化傾向にあるものの、他国比ではかなりの優等生ぶり(EU内では下から5番目、EU平均は6.0%)。
●ifo雇用バロメータ~軟調継続。製造業と小売・卸売業がとにかく弱い。
https://www.ifo.de/en/facts/2024-09-27/employment-barometer-germany-falls-september-2024
●IAB労働市場バロメータ~こちらは低水準で小じっかり(前項ifoと当該IABはドイツ当局が最も重視する雇用先行指標)。上述の通り、新規求人需要が減る一方で失業者がジワジワ増えているものの、失業者の状況(橙)の厳しさは緩和しており、マイナス成長のせいでドイツの失業者が急増するという状況ではなさそう。
https://iab.de/daten/iab-arbeitsmarktbarometer/
●IAB人手不足度指数~これだけ景気低迷が続いているのでさすがに緩んでいるが、不景気の割には水準高く、人手不足感が根強いという状況が続いている。
https://iab.de/daten/arbeitskraefteknappheits-index/
●Indeed日次オンライン求人数~上記の公式求人数同様、減少基調継続。失業者にとってはますます厳しい状況になっている。
https://www.dashboard-deutschland.de/comparative-analysis/pulsmesser_wirtschaft
●ドイツ連銀の見立て~失業者数は今年いっぱいくらいは上昇を続け、その後緩やかに減少に向かう。企業が新規採用に慎重なこともあり、一人当たり労働時間はじりじり増える。
マクロベースでは昨年に続いて今年も+6%の賃上げが続く見込み。
<ドイツの人手不足問題解説動画>
<ドイツ経済全体感アップデート>
<日独経済日記>
<ドイツニュースダイジェスト連載コラム>