先ほどドイツの3月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比+4千人と、市場予想(+10~20千人)より気持ち強めの内容となっていました。
ちなみに米雇用統計からの連想で、これがヘッドラインであるかのように誤解しがちですが、ドイツでは全く重視されていませんのでご注意ください(日曜祝祭日に経済活動がほぼ止まるため、季節調整が難しい欧州では前年同期比が重視される)。
●失業率<国内基準>~5.9%で横ばい。2022年以降の失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるもの。連邦雇用庁は「経済低迷の割にしっかり」との評価継続。
<以下◆4つはドイツ連邦雇用庁月報より抽出したもの>
◆就業者数~じりじりと上昇を続け、毎月過去最高水準を更新している(季調後、1か月遅れ、2月前月比+16千/1月+53千/12月+26千人)。実質賃金の上昇と併せて、本来は強力な個人消費下支え要因(しかし)。
しかし、小売売上は2月まで名目/実質ともまだ軟調。
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/03/PD24_130_45212.html
◆操短~低水準ながらも1月194千人(12月154千/11月175千人)とやや増加地合い。今後の人切りの予兆になりうるので要注視。
◆求人数~新規流入(下線)がじりじり減少する中、求人残高(上)もコロナ前をやや下回る水準にまで減少。
◆失業率<国際労働機関(ILO)ベース>~ドイツは3.2%と最近やや悪化傾向にあるものの、他国比ではかなりの優等生ぶり(EU内では引き続き下から4番目、EU平均は6.0%)。
●ifo雇用バロメータ~サービス業(特に観光関連)で、採用意欲高まりの気配。但し、建設業では人員削減継続。
https://www.ifo.de/en/facts/2024-03-26/ifo-employment-barometer-rises-march-2024
●IAB労働市場バロメータ~こちらは底打ちの兆し(共にドイツ当局が最も重視する雇用先行指標)。新規求人需要が減って、不況業種から染み出た失業(橙)者にとってはスキルもマッチしづらくて厳しいが、人手不足は続いているので既存の雇用(緑)はしっかり維持されているというバランス継続。
https://iab.de/daten/iab-arbeitsmarktbarometer/
●IAB人手不足度指数~不景気の割に人手不足感が根強いものの、さすがにほぼコロナ前の水準までは緩和。
https://iab.de/daten/arbeitskraefteknappheits-index/
<日独経済日記>