先ほどドイツ連邦雇用庁から10月のドイツ雇用統計が発表されましたので簡潔にポイントを整理しておきます。
●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、+30千人と市場予想(+15千人)よりやや弱めの内容でした。
●景気低迷長期化を反映して、失業率は5.8%にじわじわ上昇中。
●但し就業者数(1か月遅れなので9月分まで)は、7月前月比+1千人、8月+10千人、9月+3千人と上昇が続いており、現在46.19百万人(前年比+297千人)で過去最高記録を更新しています。
但し、さすがにドイツは不景気なので、雇用者サイドはかなり慎重になっており、この最高記録の中には短時間労働(非課税)のミニジョブや、プロジェクトベースの臨時雇用が多数含まれています。
また、団塊の世代の引退(約7百万人)が始まりつつあり、今後就業者数(人手)の確保はますます難しくなります。
●雇用の先行指標ハードデータである求人数(残高:上線)は減少が続いており、コロナ前の水準を下回ってきています。求人の新規流入(下線)も弱含みに推移しています。
●オンライン求人数は減少傾向がいったん止まり、比較的高水準を維持したまま横ばいで推移しています。上記求人がどんどん減っていくという感じではなさそうです。
●雇用の先行指標であるIAB雇用バロメータ(青~3か月後の見通しを示唆)は、いよいよ中立(100)を割り込んできました。
「就業者数」(緑)~堅調度合い低下
「失業者数」(橙)~増加圧力拡大
●一方、もうひとつの有力雇用先行指標である、ifo雇用バロメータはわずかながらも改善しています。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ完全に解消した後、低位安定推移を続けています。不景気による操業削減で跳ね上がるような気配は見られません。
★ドイツ賃金交渉一覧~長期にわたる段階的賃上げや一時金などの複雑な組み合わせばかりなので、賃上げ率としては極めてイメージしづらいですが、マクロベースでは足元6%(一人当たり名目賃金ベース)程度の上昇(通年のインフレ率とほぼ同率)が続いています。
来年あたりからは賃上げだけでなく、こちらも要警戒です。
<データソース>
https://tradingeconomics.com/germany/unemployment-change
https://www.dashboard-deutschland.de/comparative-analysis/pulsmesser_wirtschaft
https://iab.de/daten/iab-arbeitsmarktbarometer/
https://www.ifo.de/en/facts/2023-10-27/ifo-employment-barometer-rises-october-2023
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