つい先ほどドイツ連邦雇用庁から2月分のドイツ雇用統計が発表されました。
●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、+2千人と市場予想(+11千人)比強めの内容でした。
●本ブログで時々ご紹介しているオンライン求人数(青線)が絶好調であることと整合的です。ドイツ製造業が海外経済低迷やエネルギーコスト急騰(特に化学)でイマイチな中でもサービス業が健闘(赤線:サービス業売上)している一因となっています。
●昨年6月からウクライナ難民を失業者カウント対象としたため少し押し上げられていた失業率も、上昇が完全に止まっています。
●なお、2月時点でウクライナ難民の労働力人口は46万人、うち19万人が失業者となっています。
●就業者数(1か月遅れなので1月分まで。上が総数、下が社会保険対象)は、11月+40千人、12月+29千人、1月+64千人と順調に上昇し、過去最高記録を更新し続けています。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は、最近下げ渋り始め、コロナ前の水準を上回る高水準が維持されています。
求人の新規流入(下線)が急に落ちてこないか、引き続き注視しています。
●雇用の先行指標であるifo雇用バロメータは、昨夏以降の軟化がいったん止まり、採用と解雇がバランスするくらいの水準(ちょうどコロナ前くらい)での横ばいが続いています(上記求人新規流入と整合的)。
業種別にみると、観光、機械、電機が採用に積極的、建設、化学が消極的とのことです。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ完全に解消しています。
景気悪化で労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増する(失業増加の先行指標となる)ので引き続き注視していますが、今のところ全然大丈夫そうです。
●ドイツの今年通年のインフレ率が6%あたりと予想されている上、人手不足による雇用堅調はまだまだ続きますので、基本的に今年は6%以上の賃上げを覚悟しておかざるを得ないと思います。
<データソース>
https://tradingeconomics.com/germany/indicators
Pulsmesser Wirtschaft - Dashboard Deutschland (dashboard-deutschland.de)
https://www.ifo.de/fakten/2023-02-24/ifo-beschaeftigungsbarometer-gefallen-februar-2023