つい先ほどドイツ連邦雇用庁から10月分のドイツ雇用統計が発表されました。
市場予想比しっかり目の内容で、ドイツの景気が第4四半期に入って急速に悪化しているという兆しは見られません。
6月以降、失業率がやや上昇しているのは、ウクライナ難民受け入れ分を6月から失業者にカウントし始めたという純粋にテクニカルな理由によるものです。
以下ドイツ連邦雇用庁からのプレスリリース(月報)のエッセンスをご紹介します。
●雇用者数全体(上)、社会保険加入義務のある雇用者数(下)の両方とも、しっかりとした増加基調が続いており、過去最高水準に到達しています(データは9月分までで1か月遅れ)。ウクライナ難民による失業者増加が統計変更の6月から始まっているにも関わらず、就業者数は順調に増え続けているわけですから、失業者数増加が雇用削減によるものでないことがわかります。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は流石にやや軟化してきましたが、コロナ前の水準を上回る状態は維持されています。但し、新規流入(下線)が下向きになっているところに企業の採用スタンス慎重化が読み取れます。
●同じく雇用の先行指標であるifo雇用バロメータは、最近きつめの軟化が続いており、採用と解雇がバランスするくらいの水準まで落ちてきています。
https://www.ifo.de/fakten/2022-10-27/ifo-beschaeftigungsbarometer-gesunken-oktober-2022
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ解消したところなのですが、申請件数が8月44千人、9月57千人から、10月は82千人とわずかながら再び増えてきています。今後景気悪化で労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増するので注視しています。