つい先ほどドイツ連邦雇用庁から8月分のドイツ雇用統計が発表されました。
以下のような失業率のグラフだけ見て「リセッション入りでドイツでも失業者急増が始まった」と勘違いしてしまう人がいるかもしれないので念のため解説しておきます。
Germany Unemployment Rate - July 2022 Data - 1950-2021 Historical - August Forecast (tradingeconomics.com)
失業者数と失業率が上昇しているのは、ウクライナ難民受け入れ分を6月から失業者にもカウントし始めたという純粋にテクニカルな理由によるものであり、ドイツの景気が急減速してドイツ人の失業者が急増しているというわけではありません。
以下ドイツ連邦雇用庁からのプレスリリースのエッセンスをご紹介します。
●雇用者数全体(上)、社会保険加入義務のある雇用者数(下)の両方とも、しっかりとした増加が続いています(数字は7月分で1か月遅れですが、6月から失業率急上昇は始まっています)。失業者数の増加が雇用者数の減少によるものでないことが確認できます。
●雇用の先行指標である、求人数(上線:残高、下線:新規)はコロナ前の水準を超えて非常に高い水準を維持しています。
●同じく雇用の先行指標であるifo雇用バロメータでも、最近やや軟化しているものの、引き続き高水準を維持していることが確認できます。
雇用の見通しが大きく悪化しているという兆しは確認できません。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)の減少も続いています。景気悪化で労働投入が不要になっているのであれば、こちらが真っ先に急増するはずですが、実際にはその真逆のことが起こっています。
従って、ドイツにおける足元の失業者増加は、
①人手不足による賃金上昇圧力を緩和してくれる(インフレ抑制)材料
②人口増加による個人消費押し上げ(景気下支え)材料
と純粋にポジティブに捉えるべきものだと思います。
【ご参考】 人手不足の標識?