日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20221130 近郊で発生した事件/事故に対する最低限のリスク管理

ドイツなど言葉が難しい海外にいると、近くで凶悪事件や大事故が起こっていても、全国ニュースになるような大きなものでない限り、情報面で受け身でいるとなかなかすぐには気づくことができません。 地元警察のホームページをWEB翻訳でもしながら常時チェッ…

20221130 ドイツ11月雇用統計、さすがに少し緩み始めてきました

つい先ほどドイツ連邦雇用庁から11月分のドイツ雇用統計が発表されました。 市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、市場予想比気持ち弱目の内容です(+17千人)。 但し、失業者数についてはウクライナ難民カウント(約18万人)の特殊要因が大き…

20221130 ドイツ就業者数堅調

失業者数より1か月遅れで出てくる就業者数の10月分が先ほど発表され、 前月比+0.1%/+32千人、現在計45.7百万人となっていました。 足元半年はマイナス成長が避けられそうもないドイツ経済ではありますが、コロナ直後の時(下図V字部分)と違って、今回は雇…

20221130 ドイツ11月CPIは+10.0%に減速もピークアウトというには時期尚早

本日11月ドイツCPI速報が発表され、前月比▲0.5% / 前年同月比+10.0%(HICPベースでは各 unch / +11.3%)と、久々に市場予想を良い方向に裏切る結果となりました。 tradingeconomics.com 前月比がそもそもマイナスになるのは実に久しぶりの現象です。 速報段…

20221119 W杯ドイツ/スペイン戦はドイツ人17百万人(突出して多い)が視聴

カタールW杯の誘致経緯と人権侵害があまりにもひどいので、ドイツでは「そもそもボイコットすべき」「ライブでは見ない」「グッズも買わない」という冷めた雰囲気が支配的になっています。 そのため、過去のW杯初戦はいずれもTV観戦者数が20百万人を上回って…

20221129 ドイツ経済省NOWCAST、Q4 GDPは前期比▲0.5%、Q1は▲0.6%を示唆

先ほど直近分NOWCASTがリリースされました。 11月14日時点のデータに基づくあくまで非公式の推計ですが、10月以降、ほとんど横ばいで推移しており、ビジセスセンチメント(ifoやPMIなど)ほど大きく乱高下してはいないようです。 ドイツ政府は来年通年で▲0.4…

20221128 中国ゼロコロナ政策反対デモに対する欧州の反応

Wogegen richten sich die Proteste in China? | eurotopics.net 新疆ウイグル自治区の住宅火災で、ゼロコロナ対策のせいで救出が遅れた10 人が死亡した件をきっかけに、中国政府のゼロコロナ政策に対する抗議が中国各地続いており、こちら(欧州)でも昨日…

20221128 コスタリカの援護射撃、ドイツにとってこの上ない恵みの雨

残念ながら昨日日本はコスタリカに0-1で敗れて、予選突破が非常に厳しい状況になってしまったわけですが、ドイツではこれ以上ない試合前の「恵みの雨」となり、ドイツメディアは以下のように盛り上がっていました。 「本来はもっと悲壮(勝たないと終わり、…

20221127 ドイツのクルーズ船需要は夏場にコロナ前の水準まで戻っています

サービス業の統計が出るまでにはかなり時間がかかるので、直近7月、8月分までしかデータが出ていませんが、下図の通り、ドイツのクルーズ旅客売上はコロナ前を上回る水準にまで回復しています。かなりの部分がコロナで2年分たまったリベンジ旅行だと思われま…

20221126 日本のインフレをよいインフレに

<Japanese> 日本の10月CPIは、総合で前年同月比+3.7%とほぼ41年ぶりの高水準に達しました。エネルギーと食品を除く欧米流のコアで見ても、前年同月比+1.5%まで上がってきました。日銀短観の中にある、5年後のCPI予想も、コロナ前(2020年3月)の+1.0%から直近(2022</japanese>…

20221125 ドイツ連銀月報いいとこどり③(金融市場編)

引き続きドイツ連銀11月月報から金融市場関連のポイントをピックアップしていきます。 ●為替 一番下のユーロ名目実効レート(黒)で読み取れる通り、ユーロは一時弱かったもののその後戻して昨年末来おおむね横ばい。対ドル(1番目)での安値からは切り返し…

20221125 ドイツ連銀月報いいとこどり②(ドイツ経済編)

最初に今朝のドイツ連邦統計局の発表から少しだけ。 ドイツの第3四半期実質GDPは前期比+0.4%、前年同期比+1.2%にそれぞれ0.1%ポイント上方修正されていました。予想以上に強かった速報が実はもっと強かったわけで、今後2四半期はさすがにマイナスに転じる…

20221125 ドイツ連銀月報いいとこどり①(グローバル経済編)

ドイツ語のWEB世界は常に良質のコンテンツで溢れており、感動すら覚えているのですが、その中でもドイツ連銀の分析・発信は価値が高いと思っています。 本ブログでドイツ連銀関連の発信が圧倒的に多くなっているのはそのためです。 今回こちらの2022年11月月…

20221125 ドイツコロナ状況アップデート~落ち着いた状況ながら、再生産数とインフル警戒

ドイツでのコロナ新規感染(下図は7日間指数)はかなり落ち着いており、足元は日本よりずっといい状態です。 一部の州で隔離義務自体がなくなるなど、ドイツでコロナが話題になることはほぼなくなりましたが、引き続き、①電車/バスでのマスク着用と②感染時の…

20221124 ドイツ連銀金融安定報告のポイント

https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-900432 (W杯観戦で忙しいので??)以下、単刀直入にポイントを列挙します。 ちょっと前までは低インフレ・高成長(+金融資産の含み益)といういい環境だったが、今は高インフレ・…

20221124 ifo景況指数、これまでの過度の悲観を修正

ドイツの景気先行指標として最も重視されるifo景況指数は、市場の過度に悲観的な予想は上回りましたが.... 足元のGDPの走りと連動する現況指数は、期待指数を追いかける形で結構切り下がってきています。 四半期毎にアップデートされる設備稼働率もお辞儀を…

20221124 エネルギー価格上限はインフレを1〜2%押し下げ(ドイツ連銀)

今日はW杯サッカーでの日本の勝利に浮かれていましたが、先ほどドイツ連銀月報が発表されたので、最も重要なインフレ関連部分をざっとチェックしました。速報です。 ●ユーロ圏HICPの軌道イメージ 〜彼らの予想ではなく彼らが見ているデータ 実線:各日付時点…

20221123 ドイツPMI、引き続き悲惨

ドイツではifoの方がより重要(ZEWはほぼ見る価値なし)と思っていますが、世界共通の景気先行指標として重視されているPMIのドイツ部分が先ほど出たのでチェックしておきます。 https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/506581df01e34f4fa87…

20221123 フランスのインフレ率はなぜこんなに低いのか

フランスのインフレ(10月HICP)は前年同月比+7.1%と、ドイツの+11.6%、ユーロ圏平均の+10.6%と比べて極めて優秀です。足元ユーロ圏で最も低い値となっています。 ドイツとの国境近くにあるフランスの街シュトラスブールには、ドイツ人の買い物が殺到して…

20221123 本日いよいよワールドカップ・ドイツ戦

本日(11/23)いよいよカタールワールドカップで日本はドイツとの初戦を迎えます。 ドイツでの報道では「日本は規律の取れたいいチーム」という完全に紋切り型の社交辞令が繰り返すだけで、誰もドイツが負けるとは思っていません。3-1や2-0でドイツが楽勝と…

20221122 ドイツ企業の対中依存度はどんどん高まっています

自他ともに認めるグローバリゼーションの申し子であるドイツの対中貿易は輸出(黒)、輸入(赤)とも近年高い伸びを続けています。 その結果、2021年時点で中国との輸出は1,036億ユーロ(輸出内のシェア7.6%、米国に次ぐ2位)、輸入は1,430億ユーロ(輸出内…

20221122 スイスのインフレ率はなぜこんなに低いのか

ドイツのインフレ率(2番目の図)はとんでもなく高いのに、お隣のドイツ語圏スイスのインフレ率(最初の図)はなぜこんなに低いのか。 今回はそんな疑問にお答えしたいと思います。 ①強い為替レート/低い輸入物価 ユーロスイスのレートはこの2年間、特にイン…

20221122 ドイツ製造業は生産をあまり落とさずガス節約

ドイツの製造業と発電所が下図のように凄まじくガスを節約している(紫線:今年のガス消費量<<灰色:例年のガス消費量、横軸:1~12月)ので、さぞかし生産活動も抑え込まれているのではないかと心配していたのですが..... Energiemonitor: Die wichtigste…

20221121 ドイツの個人消費が予想以上に底堅い3つの理由

ドイツのビジネスセンチメントが他国比で見てもとにかく弱いので… https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/5af7a5b18575408084fc567ad6dfa522 毎週初、こちら↓のドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)を定点観測しているわけですが.... Wöchent…

20221120 小さな子供用にお勧めのドイツ的クリスマスプレゼント

当地でもこんな感じのクリスマス市が立ち始め、いよいよクリスマスに向けてカウントダウンとなっています。 Weihnachtsmarkt 2022 in Düsseldorf - Tipps für den Besuch (rp-online.de) コロナ後久しぶりの「普通のクリスマス」に向けて、子供へのプレゼン…

20221119 景気は気から

<Japanese> 10年前(2012年)に英Economist誌が出版した「2050年の世界」という本に、当時自分がマーカーを引いた部分を読み返しているのですが、将来に関する予言が悲観的に偏り過ぎて当たらない理由として、 ①悪いニュースだけが印象に残るという人間の認知バイアス </japanese>…

20221118 ドイツコロナ状況クイックアップデート~BQ1.1だけ一応警戒

だいぶ落ち着いてきたので、リスクとして気になるところだけ(軽めに)チェックしておきます。 ①日本と比べても感染が低いので、最近のドイツではコロナ関連で悪いニュースはあまりありません(一部の州での隔離義務廃止がやりすぎだと批判されている程度)…

20221118 ドイツ賃金交渉で重要な妥結成立

最近ストを繰り返していたドイツ最大の労組IGメタルが11時間にわたる交渉の結果、バーデン=ビュルテンベルク州で以下のような妥結を勝ち取りました。 Verhandlungsergebnis Metall-Tarifrunde 2022 (igmetall.de) 2023年2月末まで 一時金1500ユーロ 2023年6…

20221117 ドイツの(マクロ的な)賃金状況について

ドイツはEUの中でも賃金の高い国です。2021年の時給で比較すると、EU27カ国の平均が28.60ユーロであるのに対し、ドイツは上から7番目、37.30ユーロ(平均比3割増)となっています。 ちなみにドイツより高いのは、1位デンマーク、2位ルクセンブルク、3位スウ…

20221117 ドイツ9月製造業受注残高前月比▲0.9%減少

先ほどドイツ連邦統計局より、掲題の通りの発表がありました。主因は海外を中心とする最近の受注急減です(9月受注:前月比▲4.0%、海外▲7.0%)。 (赤:受注残計、黒:国内分、青:海外分) Auftragsbestand im Verarbeitenden Gewerbe im September 2022:…