日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221130 ドイツ11月CPIは+10.0%に減速もピークアウトというには時期尚早

本日11月ドイツCPI速報が発表され、前月比▲0.5% / 前年同月比+10.0%(HICPベースでは各 unch / +11.3%)と、久々に市場予想を良い方向に裏切る結果となりました。

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前月比がそもそもマイナスになるのは実に久しぶりの現象です。

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速報段階なので以下のような大まかな内訳しかでていませんが、今回の低下の主因はエネルギー価格(ウェート1割)となっています。

 


https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/11/PD22_499_611.html

 

確かに、最近のエネルギードイツ国内小売価格は、下図の通り、実にいい感じで低下しています(上からガス、暖房油、電気、ガソリン)。但し、今回のCPIを押し下げたのはガソリンなど、新規に買うようなものの部分だけです。

家庭用のガス、電気料金などの既存契約の多くは年一回の更新となっているため、現時点では概ね去年実績並みの水準に据え置かれており、来年初になって一気に引き上げられます。さらに、他にも年明けを機に値上げに踏み切るものも今回はかなり多いものと思われます。これらが来年1月や2月頃に凄まじいインフレ押し上げ圧力になります。

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したがって、ドイツ五賢人委員会のCPI予測軌道は、以下の通り、今年第4四半期と来年第1四半期がほぼ同じ高さという微妙なものになっています。食品やコアの上昇は来年第1四半期も続く見込みです(青:コア、橙:食品、緑:エネルギー)。

ドイツのCPIが10月で既にピークを打ち、これから低下に向かう、と考えてしまうのはかなり危険と思います。