日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20231011 ドイツのHICP、12月の大幅反動増に注意

https://tradingeconomics.com/germany/harmonised-inflation-rate-mom

 

●ドイツのインフレ状況をフォローする上では、コロナで歪んでいるドイツ国内基準のCPIではなく、ECBが見ているEU統一ベースのHICPの前月比(上図)を見るのが最も重要です。

dateno.hatenablog.com

 

●9月の前月比+0.2%(冒頭図)と前年同月比+4.3%への低下(下図)は、まだまだ水準が高すぎるとは言え、低下モメンタムを維持しているという意味ではなかなかの朗報です。

 

●但し、昨年冬は政府のエネルギー補助金(電気とガスの価格上限設定)などでインフレを強引に押し下げているため、12月にはその反動(ベーシス効果)がかなり大きく出ますので注意が必要です。

現時点でのメインシナリオは前月比+0.2%(黒線)あたりの軌道ですが、どちらかというとリスクは上振れです。

 

●ドイツ連邦統計局(Destatis)の分析コメントや項目別グラフはドイツ国内基準のCPIでしか出てきませんので、そちらの情報もある程度は併用します。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/10/PD23_405_611.html

 

エネルギー価格(赤)は2020年から5割切り上がった水準にあり、昨冬の凹み(上述)が今年は反動増となります。

食品(薄赤)は2020年から3割切り上がった水準です。

 

エネルギーの内訳でみると、水準の切り上がり度合いが高い順に、灯油(薄赤)、ガス(黒)、ガソリン(赤)、電気(青)となっています。

 

鉄道運賃(近距離+遠距離、赤)を、9ユーロチケットは7割、ドイチェラント(49ユーロ)チケット2割程度押し下げたイメージです。

 

●なお、5大研の秋季合同経済予測によるドイツ国内基準CPIの予測軌道は下図の通りとなっており、2%割れ実現は2025年となる見込みです。

 

<関連のご参考>


note.com

 

★左上や以下のバナーをクリックしてランクアップにご協力頂けると大変うれしいです!