日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

20220531 ドイツでは明日から3ケ月ガソリン減税

EUでロシア産原油の禁輸が始まることもあり、原油価格(下図はWTI)は再び騰勢を強めています。 Crude oil - 2022 Data - 1983-2021 Historical - 2023 Forecast - Price - Quote - Chart (tradingeconomics.com) ドイツにおけるスーパーガソリン(上)/ディー…

20220530 ドイツでも賃金・物価スパイラル不可避の情勢

今朝、ドイツ連邦統計局から発表された2022年1-3月期賃金統計によると、 名目賃金(青線)は前年同期比+4.0%と高水準を維持したものの、 インフレ(黒線)が+5.8%と大きく上昇したため、 実質賃金(赤線)は▲1.8%と大きなマイナスに転じていました。 この…

20220529 ドイツ経済ボディスキャン

ドイツ連銀(Bundesbank)が、ドイツの代表的経済指標を「彼らが見ている形の」グラフで随時アップデートしてくれていますので、大変便利です。 現在の断面を全身をボディスキャンするようなイメージで確認しておきます。ドイツ連銀が個別に解説してくれてい…

20220528 日本の農林水産物・食品の輸出が激増しています

本邦農水省の「令和3年(2021年)食料・農業・農村白書」によると、日本の農地面積は長期減少傾向にあり、1960年代に国土面積の19%を占めていた農地は、2021年には435万ヘクタール/国土面積の12%まで減少しています。世界の平均が約40%、日本とほぼ同じ…

20220527 ドイツ政局アップデート(政権を不安定にするほどではないもののショルツ首相不人気)

最近のドイツ政党別支持率世論調査結果を見ると、 メルツ/ゼーダー党首率いるCDU/CSUが、20%台後半でトップ独走態勢を確立しつつあるのに対し、ショルツ首相率いるSPDは20%台前半でGreenに肉薄され、第2党の地位ですら危うくなりつつあります。 オンライン…

20220526 ドイツコロナ状況アップデート

●ドイツの7日間指数(人口10万人当たり直近7日間の新規感染者数)は本日(5/26)263まで低下(前日比▲19)しました。 ●再生産数は最近安定的に1.0を割り込んでおり、今後も夏に向けて沈静化が進むと期待できます。 ●州別に見ても特に変な動きをしているとこ…

20220526 独中経済関係の現状と展望

ドイツの対中依存度の現状とその低下のための方策について、ZDF(ドイツ公共第二放送)が4分のビデオクリップ(ドイツ語ですが)にまとめてくれていますので、そのエッセンスをご紹介します。 Wirtschaftliche Abhängigkeit: Die Beziehung zwischen Deutsch…

20220525 ドイツの食品インフレはEU内ではマシな方

本日ドイツ連邦統計局から、食品インフレの影響度について小ネタ的に興味深いデータが発表されていました。 EU-Vergleich: Preisanstieg bei Nahrungsmitteln trifft Haushalte in Osteuropa am stärksten - Statistisches Bundesamt (destatis.de) インフレ…

20220524 各国(ユーロ圏、ドイツを含む)PMI速報について

●7月の利上げが迫っているユーロ圏ではありますが、本日発表された以下総合PMIを見る限り、サービス業主導でしっかりしており、今のところスタグフレーション(マイナス成長や失業率上昇を伴う状態)からは程遠い状況と思われます。雇用は堅調な一方、インフ…

20220523 足元のドイツ経済は予想比ややしっかり目です

毎週月曜夕刻(ドイツ時間)にドイツ連銀(中央銀行、ECBのドイツ支店に相当)が、ドイツのGDPの動向をリアルタイムにつかむためのNOWCASTモデル(非公式扱い)の推計結果(ドイツ連銀週次経済活動指数:WAI)を公表しています。 四半期GDPの前期比上昇率を…

20220522 ドイツ経済研(ケルン)経済予測

ドイツの有力シンクタンク、IW(ドイツ経済研~ifoやDIWなどの5大研からは外れている)から先週末直近経済予測が発表されているのでそのエッセンスをご紹介します。 IW-Konjunkturprognose Frühjahr 2022: Krise und Unsicherheit - Institut der deutschen …

20220521 デュッセルドルフの日本デーに想う

ルール工業地帯に近いデュッセルドルフには、約70年前から日本企業が集まり始め、今では約400社が拠点を構えています。総領事館、日本人学校、日本レストランなどのインフラが整っており、ドイツ在住の日本人全体(約35千人)の約4分の1(8.4千人)が集まっ…

20220521 ドイツ政局アップデート(ベアボック人気急上昇)

ドイツ公共第二TV放送(ZDF)が毎月(1-2回)実施している世論調査「Politbarometer」が本日アップデートされましたので、その中の政治家人気ランキング(トップ10)と、政党別支持率をご紹介します。 Forschungsgruppe Wahlen > Aktuelles > Politbarometer…

20220520 ドイツコロナアップデート(長期的視点)

毎夕木曜夕方にドイツ国立感染研究所(RKI)から発表されている直近週報をチェックしておきます。 https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Situationsberichte/Wochenbericht/Wochenbericht_2022-05-19.pdf?__blob=publicationFile …

20220519 自然災害の予兆管理

昔は殆どなかったのですが、近年は大きな被害の出る暴風雨がドイツでも年数回発生しています。昨年はドイツ西部で大洪水が発生しましたが、こういった自然災害の予兆を察知することは、リスク管理上非常に重要と考えています。 その具体的な方法としては、例…

20220518 ドイツ製造業の受注残はどんどん積み上がっています

今朝ドイツ連邦統計局から3月製造業受注残高統計が出ていましたのでご紹介します。 受注残高(実質ベース) 前月比+0.6%、前年同月比+2.7% 売上の8.0か月分(前月比+0.1)と過去最高値に到達 資本財 11.8か月分(前月比+0.4)~3月の伸びを主導 中間財 4.0…

20220517 独ホテル・レストラン業界アップデート

本日ドイツ連邦統計局から(ウクライナ危機の影響が反映された)3月のホテル・レストラン業界の売上高速報値が発表されました。 前年同月比実質+114.8%、名目+124.%と大きく回復しているだけでなく、 10%程度の値上げ(名目と実質の差)に成功している姿…

20220516 EU委員会経済予測アップデート

本日発表されたEU委員会の四半期経済予測は以下の通りとなっていました: GDP今年 来年 CPI今年 来年 ユーロ圏 +2.7% +2.3% +6.1% +2.7% ドイツ +1.6% +2.4% +6.5% +3.1% 日本 +1.9% +1.8% +1.6% +1.5% 定量化は困難ですが、ウクライナ危機の影…

20220515 NRW州議会選でもCDUが勝利、ショルツ首相には痛手

最終結果判明は翌朝になりますが、20時時点で大勢が決している模様なのでコメントしておきます。 ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州はドイツで人口最大の州であり、中央政府にとって常に重要な地方選と位置付けられています。SPDがCDUに大差での敗…

20220514 株主よりもっと顧客と社員を重視する経営が必要

以下あくまで私見です(異論噴出は覚悟の上で敢えて書いています)。企業には株主以外にも、債権者、顧客、社員、社会(雇用、税収、環境)といったステークホルダーが存在します。株主は企業における資金の流れ(waterfall)の一番下におり、最も高いリスク…

20220513 ドイツ経済の経済ブロック別依存度見える化

スイス・バーゼル大発祥の調査会社プログノス(Prognos)から「その後の世界」と題された興味深いレポートが出ています。 ウクライナ危機後の世界においては、経済圏のブロック化(分断)が進む可能性が高まっていますが、ドイツ経済が現時点でどのブロック…

20220512 このインフレ環境下で値下がりしているもの

特ダネ報道が得意なことで有名な高級週刊誌「デア・シュピーゲル」がドイツのインフレデータを面白く表現してくれていますので簡単にご紹介します。 Inflation: Was jetzt richtig ins Geld geht – und wo Sie sogar sparen - DER SPIEGEL 前年同月比(4月)…

20220511 在宅勤務は長期的にはかえってCO2増加要因

ifo景況指数でおなじみのifo研から掲題のような内容の興味深い論文が出ていましたので簡単にご紹介します。 ドイツの仕事の56%は部分的にでも在宅勤務で対応可能 コロナ対応で在宅勤務関連の各種ノウハウがかなり蓄積されたので、コロナ後も在宅勤務の活用…

20220510 ドイツの旅客宿泊件数、かなり戻ったがまだコロナ前の▲24%

ドイツのコロナ状況は欧州諸国比で改善が遅れており、ドイツ宿泊関連業界にとって非常に厳しい状況が続いていますが、その具体的なしんどさ具合とその推移について垣間見せてくれる数字をご紹介します。 本日ドイツ連邦統計局から発表された3月旅客宿泊件数…

20220509 シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州議会選、現州首相の人気でCDUが大勝

最終結果判明は恐らく翌朝になりますが、20時時点で大勢が決している模様なのでコメントしておきます(結論的に相場には全く影響ないと思いますが、ドイツ国内政治にとっては相応の意味合いを持っているように感じられます)。 【得票率】 CDUは事前の世論調…

20220508 日本の社長はほとんどがお年寄りという独報道

5/5付のドイツ取引所新聞(Börsen-Zeitung)に「日本の年老いた社長たち」というタイトルで日本をかなり批判的に紹介する記事が出ていました。 日本の女性登用が少ないことに関する記事はよく目にするのですが、年齢を問題にしたものは珍しい上、その内容が…

20220507 天は自ら助くる者を助く

IMD(スイス国際経営開発研究所)のWorld Talent Ranking(2021年)では、1位スイス、6位オーストリア、10位ドイツとドイツ語圏諸国のランキングが非常に高いのに対して、日本は39位と低迷しています。米国が14位、英国が23位ですので、英語ネイティブだとい…

20220506 今来週末の2つの州議会選ではそれぞれ政権与党CDUがリード

今週、来週の日曜日にはそれぞれ以下の州議会選挙が予定されています。中央政権に対するインプリケーションは殆どなさそうに思われますが、直近世論調査結果(以下のデータはWahlen)に基づいて予想される展開を軽く押さえておきます。 ①今週末(5/8)のシュ…

20220505 ロシアの原油を買うのをやめたらドイツはどうなるのか

掲題について、ドイツ主要メディアの論調などを整理してざっくりまとめると以下の通りになります: ドイツが輸入する原油におけるロシアのシェアは、昨年末の35%から足元12%まで押し下げに成功している。 運搬・貯蔵が難しく、パイプライン(ノルトシュト…

20220504 ユーロ圏PMI、サービス主導で堅調

先ほど4月ユーロ圏総合PMIの発表があり、55.8(前月54.9)と、節目の50.0を大きく上回るしっかりとした内容でした。PMI Releases (markiteconomics.com) ウクライナ危機勃発による強い逆風を受けながらも、もともと雇用の堅調が維持されつつコロナが沈静化に…