日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220523 足元のドイツ経済は予想比ややしっかり目です

毎週月曜夕刻(ドイツ時間)にドイツ連銀(中央銀行、ECBのドイツ支店に相当)が、ドイツのGDPの動向をリアルタイムにつかむためのNOWCASTモデル(非公式扱い)の推計結果(ドイツ連銀週次経済活動指数:WAI)を公表しています。

四半期GDPの前期比上昇率を当てることを目的としている割に今のところ水準の予知能力は正直イマひとつ(右チャート)なのですが、GDPの方向性はしっかり早めかつ正確に追えているので、そういうものとしては十分使えると思います。

このWAIは年初からオミクロン+ウクライナ危機のダブルパンチでじりじり低下を続けてきたのですが、最近底打ち反転し、今週からいよいよプラス圏内に復活してきました。「足元GDPは前期比+0.6%ペース」というレベル感については割り引いて受け止めめた方が良さそうですが、「足元モメンタムは上向き」と見てよろしいかと思います。

 

Wöchentlicher Aktivitätsindex für die deutsche Wirtschaft | Deutsche Bundesbank

 

ちなみに、本日発表されたifo景況指数も市場予想比やや強めとなっていました。

特に現況指数(灰色:足元の経済活動)がサービス業を中心に堅調で、上記WAIの動きと整合的です。

ifo Geschäftsklimaindex gestiegen (Mai 2022) | Fakten | ifo Institut

 

ちなみに、本日発表されたドイツ連銀月報の中に、「サプライチェーン障害の影響度」に関する興味深い分析記事が掲載されていました(P60-61)ので簡単にご紹介します。

 

  • 今年3月(ウクライナ危機勃発時)に約500社のドイツ製造業に対して緊急アンケートを実施。
  • そのうち約100社(2割)は特段影響なしと回答。
  • 残り約400社が回答した「サプライチェーン障害による生産減少幅」は下図の通り。今年は約▲10%、来年は▲7-8%、再来年もまだ▲5%以上下押し。
  • このアンケートは、ウクライナ危機勃発直後の最も不安な時期(突然のエネルギー不足も懸念されていた)に実施されているため、その分生産減少幅が過大評価されている可能性あり。
  • 一方、中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーン問題はその後一層深刻化しているため、生産減少幅が過小評価されている可能性もある。

  (縦軸:実際の/想定される生産減少幅%、青:売上加重ベース、灰:単純平均ベース)

  

https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-mai-2022-891244