日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221018 ドイツ経済のリアルタイムハードデータは概ね横ばい

ドイツ連銀が足元のGDPモメンタムをリアルタイムで把握するために試作・公表しているドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)を見ている限り、ドイツ経済がガラガラと崩れて深いマイナス成長に陥っている感じは(まだ)ありません

10月10〜16日の週までの3ヶ月は、その前の3月比GDP換算でプラマイゼロとなっており、低空飛行ながらもモメンタムは下向きとはなっていません。

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex

 

一方、10月28日朝に発表予定のドイツ第3四半期GDP速報(ヘッドラインのみ、内訳なし)については、前期比▲0.7%程度のかなり深いマイナス成長が予想されています

 

https://tradingeconomics.com/germany/gdp-growth

 

恐らく以下のようなPMIなどの(先行きの)センチメントを重視するとそうなるのだと思われますが.....

https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/81f30db010634664b4fd0612405ae03c

 

https://www.diw.de/de/diw_01.c.854980.de/diw-konjunkturbarometer_september__deutsche_wirtschaft_steckt_bereits_in_der_rezession.html

 

 

WAIの構成要素である、電力消費量、トラック交通量、フライト数、各種キーワード(失業、操短、政府支援)検索数、人出、大気汚染、クレカ使用量などのリアルタイムハードデータにはそれほど強い景気悪化の兆候は見られていないということだと思います。


https://www.bundesbank.de/en/statistics/economic-activity-and-prices/weekly-activity-index/methodology-833982

 

経済で最も重要な雇用情勢を見ても、就業者数(上)、求人数(下)とも(わずかに軟化しているものの)高水準を維持しており、景気の大幅悪化を心配するような感じにはなっていません。むしろ引き続き人手不足(によるビジネスチャンス喪失)の方が心配されています。

https://tradingeconomics.com/germany/indicators

 

ホテル・レストランの売上は、インフレ差引後の実質ベースでも8月まで概ね堅調です。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/10/PD22_447_45213.html

 

これらのデータは、ifo景況指数のヘッドライン(赤)が期待指数(青)主導で最近大きく低下している一方、現況指数(灰色線)の悪化が小幅にとどまっていることとも整合的です。

これだけ期待指数(青)が悪化しているので、いずれ現況指数(灰)も遅れて相応に落ちてくるのだと思いますが、ドイツのGDPについても、第3四半期は思っていたほど落ちず、深く落ち込むとすれば第4四半期以降、ということになる可能性が高いように思います。

https://www.ifo.de/fakten/2022-09-26/ifo-geschaeftsklimaindex-auf-breiter-front-gefallen-september-2022