日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220920 ドイツ経済が既に大幅マイナス成長という可能性は低い

第3四半期(7~9月期)のドイツ実質GDPについて、金融市場は下図のようなPMIの悲惨さ(リーマンショックやコロナショックの悪影響を正確に予知していた)を見て、既に大幅マイナス成長になっているはずだと捉えているかもしれませんが....

https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/00a0bc8b6c414014b8e27a1b34190a60

 

 

ドイツで最も信頼されているifo景況指数の構成要素のうち、足元の景気の走りを示す現況指数(黒線)はまだほとんど下がっていません。

大幅に悪化しているのはあくまで将来(特に冬場のガス不足が心配)の見通しであり、足元のビジネスの走りではないという点には注意が必要だと思います。

https://www.ifo.de/fakten/2022-08-25/ifo-geschaeftsklimaindex-minimal-gesunken-august-2022


毎週月曜夕刻に発表されるドイツ連銀のWAI(GDPナウキャスト)は▲0.3(前週比+0.1)、足元GDP換算で▲0.2%ペースとなっています。


Wöchentlicher Aktivitätsindex für die deutsche Wirtschaft | Deutsche Bundesbank

 

来年通年で▲0.3%成長を予想しているifo研予測のGDPの四半期ベースの走り(前期比、下表最上段)を見ると、今年7~9月期フラット、10~12月期▲0.2%、来年1~3月期▲0.4%と、2期連続マイナスという軌道になっています。

 

来年▲0.7%成長と現在ドイツで最も悲観的予想キール研(IfW)の直近経済予想(メインシナリオ)GDPの四半期の走り(前期比、下表最上段)を確認すると、今年Q3▲0.4%、Q4▲0.2%、来年Q1▲0.2%、Q2▲0.1%と4期連続でマイナスが続くことになっています。

 

GDP速報値の発表は10月31日とまだずっと先なので、市場予想はしっかり出そろっていないと思いますが、トレーディングエコノミクスでは前期比プラス0.2%を置いているようです。

https://tradingeconomics.com/germany/gdp-growth

 

ちなみにコロナの再生産数(R)が先週1.0を上回ってきていたので、感染再加速を警戒して見ていたのですが、足元の再生産数にはさほど上昇モメンタムはないようで....

 

 

ドイツの新規感染(青線、7日間指数)が大きく上昇して景気に追加で悪さをする可能性は今のところ心配しなくて良さそうです。


https://interaktiv.morgenpost.de/corona-virus-karte-infektionen-deutschland-weltweit/

 

またここ数週間は全国的に雨模様となっており、先月注目された干ばつ/水運麻痺リスクについてはもう一切心配する必要がない状況になっています。

 


https://www.elwis.de/DE/Service/Wasserstaende/14-Tage-Vorhersage-Rhein/14-Tage-Vorhersage-Rhein-node.html

 

 ロシアからのガスは止まったままですが、節約と代替調達の努力が奏功し、ガス備蓄は90.1%(需要の2~3ヶ月分をカバー)まで進捗しています。

https://www.zeit.de/wirtschaft/energiemonitor-deutschland-gaspreis-spritpreis-energieversorgung